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2018年01月15日05:19

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レイモンド・チャンドラー『水底の女』村上春樹訳 早川書房 2017年12月刊

昨日読み終わったミステリ。
レイモンド・チャンドラー『水底の女』村上春樹訳 早川書房 2017年12月刊。397ページ。

https://bookmeter.com/books/12525502
https://www.amazon.co.jp/dp/4152097280
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013740/

「村上春樹のチャンドラー新訳シリーズ、堂々完結!
私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の社長から行方知れずの妻の安否を確認してほしいと頼まれる。妻が最後に滞在していた湖畔の町を訪れるが、そこでは別の女の死体が見つかるのだった。マーロウが探している女と何か関係が? 旧題『湖中の女』新訳版」

「私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の経営者ドレイス・キングズリーのオフィスを訪ねた。男と駆け落ちしたらしい妻の安否を確認してほしいとの依頼だった。妻の足取りを追って、湖の町に赴いたマーロウは、そこで別の女の死体を見つける。行方知れずの社長の妻となにか関係があるのか…。マーロウの調査はベイ・シティーの闇をえぐる―チャンドラー新訳シリーズ第七弾。

チャンドラー, レイモンド
小説家、脚本家。1888年シカゴ生まれ。七歳の時に両親が離婚し、母についてイギリスへと渡る。名門ダリッチ・カレッジに通うも中退。1912年アメリカへ戻り、記者などの職を経て、第一次世界大戦に従軍した。のちに石油会社の役員となるが、不況や私生活の問題で解雇され、作家で生計を立てようと決意する。1933年にパルプ雑誌「ブラック・マスク」に寄稿した短篇「ゆすり屋は撃たない」で作家デビュー。1939年には「私立探偵フィリップ・マーロウ」シリーズの第一作となる第一長篇『大いなる眠り』を発表。1953年の第六作『ロング・グッドバイ』はアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀長篇賞を受賞している。1959年没。享年70。」

The Lady in the Lake (1943)

日本経済新聞 2018/1/3 18:00
普遍にして固有のヴォイス 村上春樹氏寄稿(上)チャンドラー長編7作 翻訳終えて
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25043040V21C17A2BC8000/

日本経済新聞 2018/1/4 18:01
準古典小説としてのチャンドラー 村上春樹氏寄稿(下) 長編7作の翻訳終えて
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25043120V21C17A2BC8000/


1943年に発表されたレイモンド・チャンドラーの長篇第四作 The Lady in the Lake の翻訳。

主人公はもちろんロサンゼルスの私立探偵、フィリップ・マーロウ。

村上春樹訳第七冊目完結篇。

「レイモンド・チャンドラーは全部で七作の長篇小説を、遺して亡くなったが、この『水底(みなそこ)の女』で、僕(村上)はそのすべてを翻訳し終えたことになる。…ずいぶん楽しみながら最後まで為し終えることができた」
p.385 訳者あとがき 「これが最後の一冊」

「最初に『ロング・グッドバイ』を翻訳出版したのが2007年で、それから10年ばかりかけて、創作の合間に、ぼつぼつと翻訳作業をおこなってきた … 七作全部を訳し終えた今、あたりを見回して「ああ、これでおしまいか。もうこれ以上訳すべき作品はないのか……」と思うと、なんだかがっくりしてしまうことになる。チャンドラー・ロス、とでも言えばいいのうか。」p.385

「著者の手抜きとまでは言わないが、ミュリエルがどうしてアンクレットを粉砂糖の中に隠さなくてはならなかったか、そのへんの事情説明も、もう少し詳しくされていてもいいのではないだろうか? 愛情と熱意を込めて翻訳をおこなった人間として、このように作品の欠点を並べたてるのは本意ではないのだが、「話の筋がよくわからないのは、翻訳に何か不備があるのでは」と思われてもちょっと困るので……」p.392

「僕としては、チャンドラーの作品を単なる「ハードボイルド」ミステリー作品としてではなく、固定されたジャンルを超えた普遍的な小説作品として、更に言うなれば二十世紀における「準古典文学作品」として位置づけて、そういう観点から翻訳をおこなってみたかった。具体的にいえばチャンドラーのあの素晴らしい、そしてオリジナルな文体を、細かいところまでできるだけ原文に忠実に、日本語に置き換えてみたかった。チャンドラーの世界をどんな風にどこまで、今日ある日本語に移し替えられるか、というのは小説家である僕にとってのひとつの挑戦、文章上の試行でもあった。」p.395

「純粋なミステリー・ファン、古くからのチャンドラー・ファンからすれば、「そんなことは余計なお世話だ。今のままでよろしい。いいから放っておいてくれ」ということになるかもしれないが――実際にそういう意見も少なからずちょうだいしたわけだが――翻訳には少しでも多くの選択肢があった方がいいだろう、そして若い世代の新しい読者を開拓するにあたっては、新しい感覚の翻訳が少なからず意味を持ってくるはずだ、というのが僕の率直な見解だ。ご理解いただけると嬉しい。」p.395


読書メーター レイモンド・チャンドラーの本棚
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の登録冊数は13冊です。

村上春樹の本棚
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の登録冊数は21冊です。
『国境の南、太陽の西』1992 までの長篇はほとんど読んでましたが、今の私にとっては、村上春樹さんは小説家というよりもレイモンド・チャンドラーの翻訳者ですねぇ。

ミステリの本棚(著者名五十音順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091193
の登録冊数は284冊です。ご笑覧いただけましたら幸甚と存じます。


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