たそかれの軒端のをぎにともすればほに出でぬ秋ぞ下にこととふ
式子内親王
百首歌よみ侍りける中に
新古今和歌集 巻第三 夏歌 277
「夕暮の軒端の荻にどうかすると、あらわに秋と名乗れない風が秘かに訪ねてくることだ。」『新日本古典文学大系 11』p.94
式子内親王集「建久五年(1194)五月、百首」。
をぎ 薄に似てより長大。夏秋にかけて花穂を出す。
ほに出でぬ 表に現われない意。荻がまだ穂を出さない意と掛ける。
秋の訪れをまず知らせるのが荻に吹く風の音とされるが、音もなく荻に訪れる風なので「ほに出でぬ秋」という。
荻を女に見立てる。
「晩夏の草」の歌。
式子内親王(しょくしないしんのう 「しきし」とも「のりこ」とも読まれる 1149-1201)後白河天皇皇女。賀茂斎院(1159-1169)。
千載集初出(入集九首、女性歌人で最多)。新古今四十九首。勅撰入集百五十七首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では斎宮女御と番えられている。
小倉百人一首 89 「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする」
http://bit.ly/10bUYTA
http://bit.ly/XugWzt
ログインしてコメントを確認・投稿する