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2017年12月19日13:31

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第5回|新ダヴィッド同盟演奏会&第2回|アンコウなべ舌鼓会

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12/17日曜、水戸芸術館で新ダヴィッド同盟による“室内楽”を楽しんだ後、大洗でアンコウ鍋に“舌鼓を打つ”という非常に「音楽的!」な時をすごしました。Mixiで知り合った「クラ・ミク」のベルウッドさん、GRFさん、ロベルトさんご夫妻とご一緒させていだきました。今回だけはシューマンの音楽が中心に回っていたので、「クララ・ミク」と言ってもいいでしょうか。(クララとはシューマンの妻で高名なピアニストのことです。シューマンの音楽はクララ抜きでは語れませんからねw)

「新ダヴィッド同盟」とは、水戸芸術館の初代館長であり私が尊敬する音楽評論家・吉田秀和氏がヴァイオリン奏者の庄司紗矢香を中心に彼女の呼びかけで結成した室内楽ユニット。シューマンが夢見たという保守的な考えに固執した古い芸術を打ち破るために戦っていく芸術家の空想の団体が「ダヴィッド同盟」です。最晩年の吉田秀和氏の夢とも言える室内楽と言ってよいと思います。2年ぶりの新ダヴィッド同盟は、通常の5人ではなく4人(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・ピアノ)という構成。プログラムもシューマンが中心になるのは自然でしょう。内容は以下の通りです。こういう豪華なメンバーで室内楽を楽しめるのは水戸だけと言ってもいいでしょう。

■ダヴィッド同盟 第5回演奏会
■2017年12月17日(日) 16:00〜@水戸芸術館
 庄司紗矢香(ヴァイオリン)
 磯村和英(ヴィオラ)
 石坂団十郎(チェロ)
 小菅優(ピアノ)

♪シューマン:幻想小曲集 op73 (石坂、小菅)
♪コダーイ:間奏曲 (庄司、磯村、石坂)
♪シューマン:おとぎの絵本 op113 (磯村、小菅)
【休 憩】
♪ブラームス:ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op26(全員)
【アンコール】
♪シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調 op47より第3楽章(全員)

音楽会冒頭、庄司がステージ上で当初発表されていた演目の順番を変更するという説明がありました。1曲目と3曲目が入れ替えに!音楽的な内容を考えたら非常に自然なことだと私は感じました。幻想小曲集 op73はチェロとピアノのデュオ。石坂のチェロは朗々というよりもテノール気味の美音。ペーター・シュライヤーが「詩人の恋」を歌っているようなイメージで聴きました。3曲目のおとぎの絵本 op113はヴィオラとピアノのデュオ。最年長の磯村は年齢的に難しいものがありましたが懸命に弾いていましたね。op73とop113の2曲を聴きながら、これらはシューマンの声が弦(チェロ・ヴィオラ)、妻クララの声がピアノに見立てられたもの、まさに「音楽家夫婦の対話」だと感じました。弦のパッセージに追随するようにピアノで同じ音型が弾かれるところが多数。
op73の場合、「落葉がキレイだね。ちょっと歩こうか?」とシューマンが問うとクララが「ええ、いいわ。葉っぱの絨毯、キレイね」というイメージなのに対し、op113は「今日は気分が優れないなぁ」「ちょっと横になって休まれたらいかが…」という感じでしょうか。op73とop113は作られた年代が数年しかないはずなのに、幸福感に満ちたop73に比べop113では躁鬱感があり、前述した曲順の変更はシューマンの病気の進行に伴う内的変化と符合するので妥当なものだったと思いました。
op73とop113の挟まれた2曲目のコダーイの弦楽三重奏による「間奏曲」は、op73とop113という性格が異なる曲どうしをつなぐ間奏曲としての役割をよく発揮していました。民謡的かつ夜曲のようなキレイな曲。オペラを除けば、「間奏曲」は晩年のブラームスはピアノの独奏曲としてロマン派な性格的小品として作られることが多く、どうして間奏曲と名付けたのか不思議に思っていましたからね。

後半は若きブラームスのピアノ四重奏曲第2番。室内楽では異例の50分程度の大曲。1番はシェーンベルクが管弦楽版で編曲するぐらい有名ですが、2番はほとんど演奏されません。私もライブで聴くのは初めてでした。実際の演奏を聴いてみると、CDでは感じられなかったニュアンスが面白かった。それは後年のブラームスの有名な曲の楽想やフレーズがこのピアノ四重奏曲に詰め込まれていたからです。たとえば交響曲第1番の第1楽章の弦の振幅の大きい鋭い楽想や、ピアノ協奏曲第2番の緩徐的な部分。若きブラームスは、後々のためにいろいろな実験をこの曲でやっていたのだと考えました。まさにダヴィッド同盟のコンセプトには相応しい選曲だと思いました。演奏中、庄司=小菅ラインは常にアイコンタクトを取っていましたね。この二人が屋台骨でした。
アンコールで演奏されたシューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調op47は初めて聴きました。私、7年ぐらい前にDGの「シューマン全集」の35枚組にも入っていたはずですが、実はまだ全部、聴けていなかった(苦笑)

たいへんに満足した室内楽の音楽会でした。演奏者も聴衆も集中して音楽と対面していました。マニアックな演目だったにも関わらず、ホールは満席でした。満足してホールを後にして、御一行5人はそれぞれの車で大洗へ。茨城の地魚を食べに行きました。この時期の旬はやはりアンコウです。このメンバーでアンコウ鍋を食べるのは2回目です。アンコウをつつきながらの楽しい感想戦となりました。食べることや感想を語ることに夢中で、実は言い忘れたことがありました。この会は
辛口の音楽評論家があつまるので、「辛・ダヴィッド同盟」なのか?
珍味を味わっているので、「珍・ダヴィッド同盟」なのか?
第3回アンコウなべ舌鼓会で決めたいと思います。

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