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2017年12月17日05:20

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丸谷才一『七十句/八十八句(講談社文芸文庫)』講談社 2017年11月刊

昨日読み終わった本。
丸谷才一『七十句/八十八句(講談社文芸文庫)』講談社 2017年11月刊。218ページ。

https://bookmeter.com/books/12343607
https://www.amazon.co.jp/dp/4062903652
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062903653

「歿後五年となる日本文学の巨星が古希と米寿の節目に遺した句集に、岡野弘彦、長谷川櫂と巻いた歌仙五巻を併録した、俳味あふれる一書」

「〈ばさばさと股間につかふ扇かな〉
墓石にこの句を刻み、墓碑銘を俳号である「玩亭墓」とのみ記した小説家は、こよなく句作を愛した。
人情の機微を卓抜にすくい取る句を選りすぐり、古希と米寿を記念して編まれた句集二冊に、岡野弘彦、長谷川櫂と巻いた未発表の歌仙を併録。
生前の姿が浮かび上がる、知と情とユーモア溢れる句の世界。」

「底本 
「七十句」…『七十句』1995年8月27日 立風書房刊、
「八十八句」…『八十八句』2013年10月13日 文藝春秋刊(非売品)。
歌仙「大河の水の巻」「大鯰の巻」「迦陵頻伽の巻」「夜といふ旅人の巻」は未発表です。「ずたずたの心の巻」は岩波書店刊「図書」2013年3月号に岡野弘彦・長谷川櫂両氏の対談とともに掲載されました。本書所収の対談はこの対談を元に新たに未発表の歌仙4巻分について語り下ろし、再構成したものです。」


『七十句』立風書房 1995.8
『八十八句』文藝春秋 2013.10(『丸谷才一全集』初回配本分特典 非売品)
丸谷才一・岡野弘彦・長谷川櫂による2012年2月2日〜9月19日の歌仙
「大河の水の巻」
「大鯰の巻」
「迦陵頻伽の巻」
「夜といふ旅人の巻」(未発表)
「ずたずたの心の巻」『図書』2013年3月号(岩波書店)と
岡野弘彦・長谷川櫂の対談「丸谷さんと俳句」(語り下ろし)。

発句(俳句)の面白さは分らないし、歌仙(連句)の楽しさも知りませんが、五年前に亡くなられた丸谷才一さん(1925.8.27-2012.10.13 享年八十七 数え年なら米寿でした)の新刊なので読んでみました。

「父は句を作らなかつた。ただし俳句といふ言葉は決して使はず、いつも発句と言つた。それでわたしもさう言ふ。これは父から受けた、ただ一つの文学的影響である。」
p.38 七十句あとがき

「七十になつたとき、句集『七十句』を出したのに、八十のときは怠つた。発句がたまつていなかつたせいもある。
今度『七十句』 以後の作をまとめて出してもらふことにしたが、句数は題と揃へてあるわけではない。いい加減である。これも俳味と受取つてもらへると嬉しい。
撰をしてくれた長谷川櫂さん、装釘の和田誠さん、編集してくれた宗田安正さんに感謝する。 2012年8月」
p.79 八十八句あとがき

百四句収載でした。

「金沢にて癌を告知されて帰京し、仕事場に入りて
生きたしと一瞬おもふ春燈下」
p.48 八十八句 春

「2004年の食道がん、2006年に二度目の食道がん、2010年初頭に胆管がん」
湯川豊「最晩年の十年」丸谷才一・湯川豊『文学のレッスン(新潮選書)』新潮社 2017.4 p.281
https://plus.google.com/108037737030783809314/posts/ShAyhtMR7Mi

「岡野弘彦 僕は丸谷さんに生前に墓碑銘を書くことを頼まれたのですが、表が俳号の「玩亭墓」だけなんですよ。びっくりしました。ここまで丸谷さんは俳句に徹していたのかと。
長谷川櫂 丸谷さんは小説家としてというより、俳人あるいは歌仙の連衆の一人として最後を迎えたかったということだろうと思うんです。
 … 
1970年、詩人の安東次男さんが大岡信さんと丸谷さんという、当時の若手の二人に歌仙を巻こうと声をかけて、歌仙の会が始まりました。安東さんの没後に岡野さんが入られ、[2012年に]大岡さん[1931.2.16-2017.4.5]が体調を崩されて僕が入って、丸谷さんが亡くなって三浦雅士さんが加わり、今も月一回の頻度で続いています。」
p.107 丸谷さんと俳句

読書メーター 丸谷才一の本棚(刊行年順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091201
の登録冊数は123冊です。

高校生の頃(1970-72)に読んだ
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一『深夜の散歩 ミステリの愉しみ』早川書房 1963.8
https://bookmeter.com/books/119368
以来、四十年ぐらい読み続けてきました。読書メーター開始以前に読んだ本が多いため、感想(メモ)を記入していない本も多いですけど、ご笑覧いただけましたら幸甚と存じます。


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