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2017年09月23日12:57

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『三度目の殺人』


 この役所広司は黒沢清が作り上げた役所広司なのだが、考えてみるまでもなく、役所広司自体が(今作の重要な台詞にあるように)「器」みたいな役者なのである。何故か舞台(演劇)からは縁遠くなり、テレビドラマに関しても今度の『陸王』(TBS)が2000年の『合い言葉は勇気』以来何と17年ぶりの連ドラ主演である。
(※放送された順番からすれば2002年の『盤嶽の一生』以来ということになるが、これは放送されるまで2、3年お蔵に入っていた)
 その間、原田眞人、三池崇史、中島哲也、成島出、そして三谷幸喜といったあまり共通点のない監督たちに、或いは海外の作品にも起用されてきたが、師匠の仲代達矢ら上の世代の主役役者たちと比べても、その捉えどころのなさが際立っている。
(危うくここで、役所広司を育てた映画監督論を書きそうになったが、そんなことは自分には無理だと気付く…(汗)。彼が黒沢清と親しくなったのは伊丹十三がいたからなの?)

 観客の前に提供される映像は映画内真実であるという前提を捨て、曖昧模糊としたあたりとか描写が昨今の韓国映画のようであるが(元を辿れば『羅生門』(『藪の中』))、あくまでもそれは司法制度の非合理的不条理的合理性を浮かび上がらせるための仕掛けであるというのが是枝の倫理なのであろう。弁護士と被告、2つを隔てる透明の壁は決して解けさることはない。だとしても、ひとは最善を尽くそうとする。それが正しいことなのかどうかは分からないが。是枝は結論を描かずとも結果からは逃げない。


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