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日記一覧

 『ドローン・オブ・ウォー』という映画があったが、これは「戦争は安全な会議室で起きている」という余りにも皮肉に満ちた作品。怖ろしいことに、ここに出てくる人間たちは、テロリストは一応除くとしても誰も悪くないのだ。果たして、少女を巻き添えにする

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『ヒトラーの忘れもの』
2016年12月26日10:08

 これまた北欧方面のお話。 1945年、対独戦の終戦直後、ナチスドイツが連合軍の上陸を防ごうとして、当時占領していたデンマークの海岸沿いに大量の地雷を埋めたのを、デンマーク軍が敗残ドイツの少年兵(というか、子どもだよ!)たちに処理をさせて、多数

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『幸せなひとりぼっち』
2016年12月26日10:07

 北欧の頑固爺さんが改心するまでのよくある話かと思ったら、そうではなかった。そもそも主人公はまだ60歳にもならない。 親子二代、真面目一筋で鉄道会社の社員として生きてきた主人公の男。とある住宅地の安全と平穏と秩序を守るためにも、偏屈者と云われ

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『ローグ・ワン』
2016年12月17日13:17

 当たり前だと云えばそれまでなのだが、これまでSWは創始者ジョージ・ルーカスが作った枠というかタッチに縛られてきた。世界観の統一という意味ではそうあって然るべきだったのだが、ルーカス自身、ストーリーテラーとしての腕はそう卓越したひとではなか

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 事実は小説よりも奇なりというけれど、この「ロンドンの劇作家が、縁も所縁もないホームレスの老女が棲む車を自宅敷地に駐車させ15年もの間あれやこれやとご近所さんたちとともに彼女の世話を焼いた」という話が「ほぼほぼ」実話だというから驚くではないか

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 映画は好きだし歴史も好きだけど、映画史にはとんと疎い。ヒッチコック(※)はそれなりに観ていても、トリュフォーの作品は正直殆ど観た記憶がない。『未知との遭遇』に出てくるフランスの科学者というイメージの方が強いぐらいである。((※)『記者ハンドブ

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 バックステージ物の映画はたくさんある。映画『Wの悲劇』のように、「外側」部分と「内側」つまり劇中劇の部分とが内容的に符合したり時には絡み合ったり、虚実ないまぜになるようなものも。役者が役者を演じるというのは面白いものだ。 今回の作品はそう

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 アメリカでの史実があり、それをモデルとしたフランス映画『偉大なるマルグリット』が先に作られフランスで公開された後で、オリジナルとでもいうべき史実に基づいた映画の制作、公開となった。それもアメリカではなくイギリスの資本、制作(ロケ地も)で。

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以上ここまでが
2016年12月12日01:21

2016年度(2015年12月〜2016年11月公開作品)に映画館で鑑賞した作品ということとなり、この中から今年度のアール・デミー賞が選定されることとなる。(この後に観ている『マダム・フローレンス!』と『貌斬り』は2017年度扱いとなる)何本観たか、数えるとこ

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 物語に3つのパートがあって時間軸をずらせているから、予備知識が全くないひとには分かりにくいかもしれない(終盤まで観てると繋がってくる、というか、一応それが仕掛けになってるわけだけど)。 有り体にいうと、タイトルロールである蒼井優(勤め先の

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 チェット・ベイカーがヘロインに溺れ欧州で投獄されたり再起不能になるぐらい酷く殴られてトランペットが吹けなくなった時期から一旦復活を遂げるまでの経緯を、実在の人物と実際にあった出来事を虚構を交えて、ではなく虚構として再構成。何せ、肝心要の、

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『エヴォリューション』
2016年12月12日01:12

 生理的に悪趣味な作品というものがある。例えば(初期の)クローネンバーグがそうだったが、趣味の悪い描写(胎児みたいなのが化け物になって襲ってきたり)であっても妙にひとを惹きつけるものがあった。今作は趣味が悪いだけ。ある閉ざされた孤島らしき社

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『ネクター』
2016年12月12日01:11

 『エヴォリューション』を観に行ったらオマケで付いてた短編。蜜蜂の生態を人間社会になぞらえて風刺するのは古典的だが、画として登場人物が蜜蜂の生態を「再現」して見せる。邸宅で若い女たちに かしずかれる女主人がいて、主人が供された花のエキスを食

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 これは始末に悪い映画(^^ゞ。まるで、超常現象が起こらない『オーメン』みたいな印象を受ける惹句(宣伝)とフランケンシュタインみたいな邦題を意識して観ていると、全然そんなストーリーにならない。 原題の意味は『指導者の少年時代』で、「指導者」と

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『母の残像』
2016年11月30日01:23

 監督がラース・フォン・トリアーの甥っ子と聞いて、いささか身構えて観に行ったのだが、これが「家族の喪失」を描いた意外にもわりとストレートな物語だったりする。一方で、あまり身構えないで観に行った『シークレット・オブ・モンスター』がかなり厄介な

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『弁護人』
2016年11月30日01:18

 時は1970年代後半から80年代、今も昔も学歴社会コネ社会かつまだ軍事政権色の強かった韓国、釜山。高卒でカネもないが一念発起して弁護士となり、家族の為司法書士や税理士がやっていた業務を手掛けて経済的に成功した男。弁護士としての名誉や政治運動、学

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『胸騒ぎのシチリア』
2016年11月27日08:34

 夏、シチリアで恋人と静かに養生するベテラン歌手のもとに、元カレが美形の娘を連れてやってきた。元カレと今の恋人とは親友同士だからなのだが、これで何かが起こらぬはずがない… これはかなり食わせ物の作品であって、よくある「観光地ラブサスペンス」

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 ヒロインの元住まいであり今は元夫とその今の妻が住む家で子守りをしていた女(人妻)が行方不明になる。ヒロインは列車の窓から見える子守りの女夫婦が住む家で、子守りの女が夫以外の男をいるところを目撃していた…。  物語というか犯罪の構造を整理し

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『聖の青春』
2016年11月27日08:31

 かつてテレビドラマ版で藤原竜也(当時18歳)が演じた役を、同じ事務所の盟友ともいうべき松山ケンイチ(撮影時30歳)が演じる。当たり前だけど全然違う(笑)。2001年新春にTBS系(中国放送・テレビマンユニオン制作)でスペシャルドラマ『聖の青春』が放送

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 1980年8月末のアメリカ。1980年というと大統領選の年だ。前年起こったイラン革命に端を発する第二次オイルショックの影響で不況に陥った合衆国の世情は、現役ジミー・カーターではなく(イラン人質解放作戦の失敗が致命的だった)、当時超保守と思われていた

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  1作目公開の際、「なんで邦題を『アウトロー』にしたのか!シリーズ化される可能性が高いのに、これじゃあインディ・ジョーンズシリーズの際の失敗から何も学んでないじゃないか」と怒ったけど、ほんと何も学んでなかったね配給会社は。 しかし、2作目に

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『この世界の片隅に』
2016年11月12日22:24

 戦前から戦時下、そして敗戦後の呉、広島を舞台に、絵を描くことだけが取り柄のような平凡でどこかぼっとしている少女がやがてお嫁に行き、家族とともにひたすらにひたすらに毎日を生きていく。徹底した詳細な考証、描写により、ヒロインすずの生きた場所と

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『ジュリエッタ』
2016年11月12日01:25

 アルモドバルにしては至ってソフトなミステリータッチの母娘文芸もの。突然姿を消した娘を探す母と娘との愛憎。夫の事故死のあとで、何故娘は自分の前からいなくなったのか。ちょっとしたすれ違いと勘違い、疑念が家族の運命を狂わせていく。母の母、母、そ

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 まあ!お下劣(爆) スーパーマーケットに売られている品物(食品に限らず、ビデ!とかも)に心も意志もあったとしたなら…。彼らはお客に買われてスーパーから外に出ると、そこは天国だと信じている。主人公はソーセージ。相思相愛のパンの切れ目に挟まるの

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『続・深夜食堂』
2016年11月10日17:06

 マンガ原作だが、テレビドラマ、映画、動画配信と様々なメディアで作られ続けている「飯テロ」ものの代表格。今回は前の映画と比べても、更に事件らしい事件は起こらず(香典泥棒と「来て来て詐欺」は出てくるけど)、緩やかに人情話が語られていく。オダギ

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 プログラムピクチャー、ハードボイルド、大人の映画… ノスタルジーだとお思いでしょうが郷愁だけではないでござんす。 柏原寛司が片桐竜次俳優生活45周年記念という触れ込みで作ったフィルムノワール。元刑事で取り立て屋で生計を立てている初老の男が、

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『溺れるナイフ』
2016年11月10日17:05

 山戸結希という作り手は、素晴らしい離陸と飛行はするけど、着陸が下手くそなのではないか。スキルがないのではなくて、まだ何処に着陸したらいいのかよく分かっていない気がする。幼いのだ。拙いわけではない。 独特の、他の映画に比べて0.数秒短い編集の

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『手のひらを太陽に』
2016年11月06日00:33

 インディーズ映画で、海外では評価される機会もあるようだがなかなか日本では正式上映が決まらないという。近藤芳正や矢部太郎らも出演。 引き籠もりであるが顔を隠し黒子のような格好をして手に填めた人形に人格を代行させ、外出し働きにまで出ている青年

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『ぼくのおじさん』
2016年11月06日00:33

 『オーバー・フェンス』では新境地を拓いた山下敦弘が、北杜夫のユーモラスな世界の構築に挑戦したが、こっちの方が難しかったみたい。 明らかに『男はつらいよ』を意識しているのだが、しかし、そうなら松竹がやれよ。東映がやるなよ。 高等遊民を気取れ

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『インフェルノ』
2016年11月06日00:32

 ダン・ブラウン嫌いの私だが、家人のたっての希望を入れて一緒に観に行った。何せ、殆ど映画も観ないし小説もあんまり読まない家人だが、何故かダン・ブラウンは読んでいるのだ。 困ったものだ。 終わり(爆)。

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