かりがねの帰(かへ)る羽(は)風やさそふらん過ぎゆく峰の花ものこらぬ
源重之
題しらず
新古今和歌集 巻第一 春歌下 120
「羽を連ねて帰る雁の撃ち合う羽風が誘うのであろうか、通過してゆく峰の花は残らず散ったことだ。」『新日本古典文学大系 11』p.52
重之集「春の暮れつ方」、三句「かよふらむ」、五句「花ものこさず」。
さそふ 風が花を散らすのをいう常套語を「羽風」に転用した興。
参考「吹く風の誘ふものとは知りながら散るぬる花のしひて恋しき」(後撰 春下 読人しらず)。
「山里の落花」の歌。「落花」に景物として「帰雁」を取合わせる。
源重之(みなもとのしげゆき、?-1000?)平安時代中期の歌人。清和天皇の皇子貞元親王の孫。
拾遺集初出。新古今十一首。勅撰入集六十八首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では寂蓮法師と番えられている。
小倉百人一首 48 「風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけて物を思ふ頃かな」
http://bit.ly/1fegvyW
http://bit.ly/1fegzP2
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