吉野山花やさかりににほふらんふる里さえぬ峰の白雪
藤原家衡朝臣
題しらず
新古今和歌集 巻第一 春歌上 92
「吉野山では花が今を盛りと咲きほこっているのであろうか。この古京は寒くもなくて、峰に白雪の積もっているのを見ると。」『新日本古典文学大系 11』p.43
本歌「み吉野の山の白雪つもるらし古里寒くなりまさるなり」(坂上是則 古今 冬)。
ふる里 本歌では詞書によれば奈良の京であるが、ここは麓の吉野の古京。
さえぬ 烏丸本・正保板本「さらぬ」。
本歌の「寒く」を逆に「さえぬ」と改めて、白雪を花に見立てた興。
参考「み吉野の山辺に咲ける桜花雪かとのみぞあやまたれける」(紀友則 古今 春上)。
「盛花」の歌。
藤原家衡(ふじわらのいえひら 1179-1245)鎌倉時代前期の公卿(非参議)。非参議藤原経家の子。
新古今集初出二首。
http://goo.gl/iv8WBX
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