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2017年06月04日22:35

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【ネタバレなし】ジェームス・マカヴォイ一人劇場 『スプリット』

主演の1人劇場。
なにもかもがジェームス・マカヴォイの演技にかかる。*1

人生にトラウマをかかえるケイシー。彼女をふくむ3人の女子高生は突然誘拐され、
以後、どこともしれない地下へ監禁されてしまう。
目の前に姿を現す男性はひどく潔癖症な“デニス”。恐怖する彼女たちだが、
しばらくして姿を現す“デニス”は今度は女装しており“パトリシア“を名乗る。
以後、多重人格の“狂人” *2 に翻弄されつつ3人は脱出をめざす。

シャマラン映画は、もうジャンルといっていいかもしれない。*3
前作『ヴィジット』を経た原点への「回帰」は本意か?

ただ、かいはあった。本作は非常な成功を収め、続編が決定。
結局のところ自身をふくめ人々は、監督に「そういう映画」を撮って欲しいのだ。

多重人格が主題の作品はめずらしくない。ただ、本作にはやはりしかけが存在する。
「照明」「ケヴィンが宿す23人の人格」
「“彼等”の一部が求め、“彼等”の一部が恐怖する“ビースト”」
「ケイシーのトラウマ」。物語はケヴィンの正体と、監禁場所の謎を柱に展開し、
最後にケイシーがケヴィンと対決する。

本作のしかけは、
シャマラン映画のセオリーがわかっている人々なら予想がついてしまうかもしれない。
監督の物語は、時折、「オッカムのカミソリ」で、 *4 監督を愛する我らは、
その“剃刀”をたのしむからだ。なら物語の帰結と今後の展開にも納得できるはずだ。
19年の続編がいまからたのしみだ。


※1 この脅威の人物の支配人格は“ケヴィン”の名を持つ。だが、ジェームス・マカヴォイは子供、女性、潔癖気味、あともう一人の人物を演じ分ける。

※2 本当に彼等は“狂人”か?

※3 シャマラン映画を好む人は、正直、しかけはどうでもいいのだろう。ヒッチコックを想像させてくれる作中の字体フォントや、画面の作り方、恐怖の緩急の付け方。そういうジャンル(様式)を作品のなかに見るわけだ。

※4 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%89%83%E5%88%80。本作の場合、「同様のデータを説明する仮説が二つある場合、より単純な方の仮説を選択せよ」(カール・セーガン)にかかる。
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