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2017年05月10日09:14

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今月の一冊「デパートへゆこう」真保裕一。

子供の頃、
母子家庭で育ち、
母が、
わずかな家計費の中から、
時々、連れて行ってくれた
デパート、
めったに食べれない菓子一個、
10円ぐらいでのれる
簡易な遊具。

そんな昔を心に忍ばせ、
仕事や、、
そして、家庭もくずれ、
別れた女房や、
会ってもくれない娘。

閉店後の、デパートの中で死に場所を探す男。

家出してきた,十代の若い男女。

何時も、上司にペコペコ、しながら
うだつの上がらない課長。

敏腕の警備員なのに
本社から栄転の話が合っての耳を傾けず、
デパート鈴善に固執する警備員。

デパートの優秀なセールスでありながら、
ある失策から警備員に転職した若者。


十年以上のキャリアがある女性販売員。

元警官でありながら、
警察とヤクザ、両方に
追われる男。

そして、
役員会で今日もつるし上げをくらった、
創業者四代目の社長。
それらが
真っ暗の中で蠢く一晩。

童話の「あらしのよる」にも似た
悲喜劇は、
どんどんひき込まれた。


現在、デパート業は厳しい状態にあるという。
この中で舞台になるデパートの創業者の
ポリシーは、
デパートは生活の拠り所でなければならない。
又地域の中で寄り添って行かなければならない。

初代社長は、
戦後焼野原となった時、
デパートを開放し、
全ての商品を吐き出し、
地域に託した。

そうした、慈善が後々、
大事な顧客として、
老舗と言われるまでの大型商業施設になった。

その先代の心を
胸にした四代目社長も、
時代の変化にはついけず苦悩する。

特に最後、
老ベテラン警備員の過去が
ほろりとさせられた。

デパート、好きですか?


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