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2017年03月27日05:37

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み吉野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり 摂政太政大臣[藤原良経]

み吉野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり
 摂政太政大臣[藤原良経]
 春たつ心をよみ侍りける
 新古今和歌集 巻第一 春歌上 1[巻頭歌]

「吉野は山も霞んで、昨日まで白雪の降っていたこの古里に春は来たことだ。」『新日本古典文学大系 11』p.20

秋篠月清集[藤原良経の家集]「治承題百首」。後京極殿御自歌合。
本歌「春立つといふばかりにやみ吉野の山も霞みてけさは見ゆらむ」(壬生忠岑 拾遺 春)。
み吉野 大和国の歌枕。
山もかすみて 吉野は雪が深くて立春も「春霞たてるやいづこみ吉野のよしのの山に雪はふりつつ」(古今 春上 読人しらず)と歌われている。その趣意を改めたのが本歌。
その「み吉野の山も霞みて」をそのまま承ける一方、下の「里」に対する「山も」でもある。この山と里を総括するのが初句で、そのため本歌の「の」を「は」に改める。
ふりにし里 「降る」と「古る」と掛詞。吉野は古代の離宮の地なので、古京の意で古里と呼ぶ。
雪はやんだが白皚々[はくがいがい]のイメージは働く。寂れた古京の山野に訪れた明るい春の気配を歌う。
「立春」の歌。

藤原良経(ふじわらのよしつね 1169-1206)平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての公卿。後京極良経とも。摂政関白・藤原兼実二男。和歌所寄人筆頭。
新古今集仮名序執筆者。新古今集入集七十九首、西行・慈円に次ぎ第三位。
千載集初出。勅撰入集三百二十首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合 再撰本』では在原業平と番えられている。
小倉百人一首 91 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしき独りかもねん」
http://bit.ly/1di7DsW
http://bit.ly/ZCtCDG

2013年の立春、2月4日から読み始めた新古今和歌集の通読が四年かかって、昨日、終わりました。全二十巻(春夏秋冬賀哀傷離別羈旅恋雑神祇釈教)、1995首。
今日から再読です。

今年2017年の立春は、先月2月4日(旧暦では2017年1月8日)でした。


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