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2017年01月30日05:04

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藤沢周平『江戸おんな絵姿十二景』文藝春秋 2016年12月刊

昨日読み終った小説。
藤沢周平『江戸おんな絵姿十二景』文藝春秋 2016年12月刊。

http://bookmeter.com/b/4163905731
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163905730
https://www.amazon.co.jp/dp/4163905731

「藤沢周平 没後20年記念出版。
月刊「文藝春秋」昭和56年3月号から1年間にわたり連載された「江戸おんな絵姿十二景」を、主題となった浮世絵カラー絵を全点収録して刊行。

編集者が選んだ2、3枚の絵のなかから、藤沢さんが1点を選び、想像力を駆使して季節に対応した掌編を執筆。

登場する浮世絵は鈴木春信「雪中縁端美人」、鳥居清長「女湯」、喜多川歌麿「傘さす男女」、歌川国貞「集女八景 洞庭秋月」など、バラエティに富んだ12点。

単行本化(「日暮れ竹河岸」所収)の際には掲載されなかった浮世絵を、本書ではすべて収録。雑誌掲載時と同じ形で浮世絵を全点カラー収録・解説もつけた完全版は、単行本としては初登場です。

オール讀物新人賞を受賞した「溟い海」をはじめ、藤沢作品で浮世絵・浮世絵師を題材にしたものは多いですが、本企画では「若干の遊びごころと、小説家としてこの小さな器にどのような中身を盛ることが出来るか、力量を試されるような軽い緊張感が同居している」と創作の背景を語っています。」

「十二枚の浮世絵に触発されて書かれた陰翳豊かな十二の掌篇。浮世絵を全点カラー収録した完全版。単行本初登場。」

藤沢周平(1927-1997)没後20年記念出版。

『文藝春秋』1981年3月号〜1982年2月号連載。
「雑誌掲載時と同じ形で浮世絵を全点カラー収録・解説もつけた完全版」。

ゆったりと文字の組まれた10ページ程の掌編、一月から十二月までの12作。
鈴木春信ほかの浮世絵と物語で江戸情緒を六日間ゆっくりたっぷり楽しみました。

「おいらん[播磨]は、あたしのような雪駄屋風情が近づける女じゃなかった。それはわかっていたが、ある日、茶屋に行くおいらんを見てしまった。四年も前のことです。この世ならぬうつくしい女子(おなご)を見た、と思いました。

そのとき、あたしは心に誓ったものです。男と生まれたからには、一度はこのような女子と添い臥してみたいものだとね。そう決心したとき、あたしは家も商売も捨てたのです。こわいものなど、ひとつもなかった。

あたしは、分不相応な男の夢がかなったしあわせ者だ。何でおいらんをうらむことがあるものか。後悔などひとつもしていませんよ」p.121 明烏

「春雨の、眠ればそよと起こされて、乱れそめにし浦里は……。かすかに聞えて来る新内の声は明烏だった。じっと聞いている播磨の耳に、引け四ツ[午後十二時]の冴えた拍子木の音がひびき、明烏の声がはたとやんだ。」p.125 明烏

「夜の雪」 鈴木春信「雪中縁端美人」、
「うぐいす」 鳥居清長「女湯」、
「おぼろ月」 礒田湖龍斎「亀戸の太鼓橋」、
「つばめ」 喜多川歌麿「教訓親の目 俗ニ云ばくれん」、
「梅雨の傘」 喜多川歌麿「傘さす男女」、
「朝顔」 月岡芳年「風俗三十二相 めがさめさう 弘化年間むすめの風俗」、
「晩夏の光」 歌川国貞「江戸自慢 五百羅漢施餓鬼」、
「十三夜」 歌川国貞「集女八景 洞庭秋月」、
「明烏」 鳥文斎栄之「青楼美撰合 初買座敷之図 扇屋滝川」、
「枯野」 歌川豊国「今様十二ヶ月 初冬の図」初代豊国団扇絵、
「年の市」 喜多川歌麿「千話鏡(ちわかがみ)月の村雲 お千代・半兵衛」、
「三日の暮色」 鈴木春信「水鏡」

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