ちはやぶるかしひの宮のあや杉は神のみそぎにたてるなりけり
よみ人しらず
香椎宮(かしひのみや)の杉をよみ侍りける
新古今和歌集 巻第十九 神祇歌 1886
「香椎の宮のあや杉は、香椎の神の御神木として立っているのである。」『新日本古典文学大系 11』p.549
続詞花集[藤原清輔による私撰集。『詞花集』に継ぐ第七勅撰集となるところを、下命者である二条天皇(1143−1165)の崩御に遭い実現しなかった]神祇。
香椎宮 八幡と関わりが深い。
ちはやぶる 「宮」にかかる枕詞。
あや杉 椹(さわら)の園芸変種ともいうが、八雲御抄三[やくもみしょう 順徳天皇 1197-1242 による歌論書]では「杉」の項目に「あや かしひの宮」と見え、香椎宮の神木の杉をさすか。
「ちはやぶる香椎の宮の杉の葉を再びかざあすわが君ぞきみ」(大膳武忠 金葉 雑上)。
みそぎ 神仏の像を造る材料となる木。ここではご神体の神木か。「御衣(みぞ)」を掛け、「あや杉」の「文(あや)」、下の「たて」に掛けられた「裁て」と縁語。
参考「ちはやぶるかすひの宮のあや杉はいく世か神のみそぎなるらむ」(檜垣嫗[ひがきのおうな]集)。
香椎宮関係の詠。
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