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2016年12月07日20:34

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セヴィリアの理髪師@新国立劇場

新国立劇場公演では「セリアの理髪師」と表記されており、これはスペイン語には
ヴの発音がないためで、最近ではこちらの方が採用されているようです
(あのパッパラパーのネアカ・テノールもビリャソンです)
でも、イタリア語のオペラですからね、それに伯爵の名は「アルマヴィーヴァ」と
表記されているのですよ(もっとも、イタリア語に忠実にするなら「スィヴィリア」
とするべきなのかもしれませんが)
まぁ、ワタシは慣例に従ってセヴィリアとしておきます

ボーマルシェによる「フィガロ三部作」は喜劇というよりは風刺劇で、それは後になるに
従って風刺の度合いを強めて、冗談にするにしては深刻な内容になって行きます
最初の作品である「無駄な見張り」は未だ発端ですから、若き伯爵とロジーナの青春物語
で、年甲斐もなく若い娘をものにしようとする老人の鼻を明かすという設定です
だから他愛のないドタバタ喜劇で、大笑いするというようなほどでもなく、ワタシはあまり
好みではありません(愛の妙薬もファルスタッフも喜劇としては面白みに欠ける)

音楽的にはロッシーニの軽快なもので、それだけに深みを要求するものではなく、この点
でもモーツァルトのフィガロの結婚と比べるのは酷でしょう

というわけであまり期待もせずに拝観いたしましたので、がっかりすることもありません
声楽陣は外人キャストはすべて初めて聴く人で、特に問題もないと思います
テノールは縮緬ヴィブラートが気になりましたが、レッジェーロで高音もこなしていました
何よりも容姿が往年のハリウッド二枚目風で、典型的王子様ですからロジーナが心奪わ
れるのも無理がありません(これが肥満体だったらバルトロと変わりませんからね)
その他のキャストも日本人キャストも破綻のない出来でした

オケは東フィルで、直前に都響と東響の定期を聴いたばかりだったので、やはり音質は
聞き劣りがします(特に弦がざらつくのはロッシーニの軽妙さを欠く)
開演前にホルンが入念に練習しており、本番では序曲の第2テーマを乗り切りましたが
木管の方がコケました(木管がコケるのは珍しい)

演出はわからないところが多いです
舞台上手側に「El Cambio」とネオンサインのある風俗店があり、娼婦たちが出入りしている
のに交じって伊達男のいでたちの人物が何なのか(ジゴロかヒモか、経営者のやくざ者か)
ベルタのアリアの時、彼女がこの娼婦や伊達男に金を渡しているのがわかりません
子役が出てくるのですが、掏摸をやったりするチンピラのようで、フィガロとの関係が
オリヴァー・ツイストのフェイギンと少年たちのようなものなのか(謎です)

今回は特に興味を持って聴きに行ったわけではないため、公演パンフレットも購入せず、
演出プランは明らかではありませんでしたので、はっきりしたことはわかりませんが、
フィガロは誘拐されたという生い立ちの人物ですから、裏社会ともつながりがあることを
表しているのでしょうか(アルマヴィーヴァとロジーナの結婚と対照させて、その後の
闇を暗示しているのかもしれません)

特に不満もないかわりに、喜びに浸るという舞台でもありませんでした
カーテンコールでの熱狂的歓声もちょっと疑問でしたが、一方でロジーナ役のレナ・ベル
キナに一人だけブーイングを浴びせた観客がいたことは不思議でした

終演後はオペラシティの大戸屋で「チキンかあさん煮定食」(こういうネーミングは
やめて欲しいです、注文するときは恥ずかしいのでメニューを指さしましたが、復唱
されてしまい、赤面しました)に八海山を冷やで(念のため「常温」と言い添えました)
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