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2016年11月30日19:39

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ヘンリー4世第2部 ”戴冠”@新国立劇場

昨日に引き続き第2部です(二日に分けないと体力的に無理です)
第1部の幕切れはシュールズベリーの戦いの後、王の陣営のそば
ということになっておりますが、今回の演出ではここにフォールスタッ
フもいて、なにかと口出しして王から「うるさい」とたしなめられる
原作の戯曲ではそういう設定になっていませんし、王とフォールス
タッフのやりとりもありません

思うに、これはフォールスタッフの増長と、それに取りあわない王
という、第2部への伏線ではないかと

さて本日の第2部は昨日と異なり、1階センターブロックで、舞台の
ほぼ真ん前という席、昨日のPAの不具合も感じられませんし、現金
なもので、B作さんのセリフ(声)も気にならず、正面から見るB作さん
は愛嬌があってなかなかいい感じです
舞台装置は通し上演という事もあって、第1部と同じです(美術は
島 次郎さんで、鵜山君は「しまじろうさん」と一続きで(苗字のない)
名前のように呼んでいました)

昨日はB席で今日はS席、当然値段は違います(2.5倍の格差)
その違いが如実に表れてますね
主催者は批評家には最上級の席を用意すべきでしょう
批評家の中には提灯持ちと言われたくないのか、自腹で聴いている
ことを自慢する人もいますが、D席やE席で聴いて音響や見栄えの
ことを云々しているのは筋違いでしょう(例のオペラ通氏です)

さて第1部でホットスパーが無念の戦死を遂げ、王軍団と反乱軍
の対立は解消されましたので(残党はいますが)、悲喜劇の交錯が
残されました(アリアドネとツェルビネッタ)

こうなると第1部ではチョイ役だったラサール石井さんと綾田俊樹さ
んが、俄然勢いを得てB作さんと、水を得た魚のようにハイテンション
な舞台を繰り広げます
また、ホットスパーとして討ち死にをして出番のなくなった岡本健一
君が、フォールスタッフ側のピストル役として大胆なパンク衣装で
クイーンのWe will rock youに乗ってラップを披露するという
鵜山君の言葉を借りれば「大衆演劇的な、また小劇場的な逸脱」が
起こります
演出家としては個人的には楽しんでいるが、監督者としての責任も
あり、まさに鵜山君の言う「葛藤のエネルギー」ではないですか

綾田さんは「This is a pen」と例の流行語のパロディを口にしましたが
パロディであるがゆえにわざとそう言ったのか、「I have a pen」と言う
べきところを言い間違えたのかわかりません(笑いは起こってましたが)

シェイクスピアには、楠美津香さんも仰っていますが、悲劇的場面を
用意して、すぐそのあとに喜劇を見せる(あるいはその逆)という
仕掛けがいくつもあって、これが醍醐味なのだとか(観る側もそうです)

だから「アリアドネ」で作曲家が悲壮感に捕らわれるけれど、観客の
代表である伯爵は、悲劇も喜劇も両方いっぺんに見たいのですよ
それはそんなに荒唐無稽なことではなく、だから必要以上にこねくり
回す演出は不要だという事です(わかりましたか、カロリーネ・グルー
バーさん)

本日の公演は高校生の団体さんが入っていたようで、休憩時間には
JKの嬌声が客席内にこだましていましたが、上演中は行儀よく鑑賞
していました(下町軍団のお笑いの場面では受けまくっていました)
この点、上演中であろうとおかまいなしにしゃべくり倒すババぁどもは
見習ってほしいです、ホント

今回はオーソン・ウェルズのDVDと、5月に観た楠美津香さんの一人
芝居が大変参考になりました
強いて言うなら、二期会の「ナクソス島のアリアドネ」も反面教師として
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