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2016年10月30日05:04

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S.J.ローザン『苦い祝宴 (創元推理文庫)』 直良和美訳 東京創元社 2004年1月刊

2009年9月に読んだミステリ。
S.J.ローザン『苦い祝宴 (創元推理文庫)』 直良和美訳 カバー 朝倉めぐみ 東京創元社 2004年1月刊。2009年9月23日読了。

http://bookmeter.com/cmt/3204618
http://bookmeter.com/b/4488153062
https://www.amazon.co.jp/dp/4488153062

「中華料理店で働く青年四人が、ある日突然揃って姿を消した。彼らが勤めていたのは、チャイナタウンの大物が経営する有名店。最近始められた組合活動に関して、店と対立があったらしいが、その程度のことで拉致されたり消されたりするはずもない。半ば強引に捜索の仕事を引き受けたリディアは、相次ぐ予想外の展開に翻弄される。“リディア・チン&ビル・スミス” シリーズ第五弾。」

「S・J・ローザン
アメリカの作家。1950年生まれ。様々な職業を経て、90年頃から書き始めたミステリで、ふたりの私立探偵、中国系女性のリディア・チンと白人男性のビル・スミスを生み出し、94年に発表した『チャイナタウン』を第一作とする長編や多くの中短編で活躍させている。『ピアノ・ソナタ』『天を映す早瀬』でシェイマス賞、『どこよりも冷たいところ』でアンソニー賞、『冬そして夜』でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長編賞を、「ペテン師ディランシー」でMWA最優秀短編賞を受賞するなど、現代を代表する私立探偵小説の書き手として高く評価されている。」

S. J. Rozan
http://sjrozan.net/

ウィキペディア https://goo.gl/M4Ivsk
https://en.wikipedia.org/wiki/S._J._Rozan

現代私立探偵小説の旗手 S・J・ローザンの長編を読む
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0401_01.html

S. J. Rozan (1950- )
A Bitter Feast (1998)

1998年に発表された、ニュ−ヨークの私立探偵リディア・チン&ビル・スミス・シリーズの第5作。

2009年9月当時、第8作 『冬そして夜』 Winter and Night (2002) まで発表されていたので、あと3冊楽しめるなぁ、二人の関係は変化するのかなぁ、などと思いながら読んでいました。

このシリーズは食事の描写が毎回美味しそうで、犯罪の謎解き以上に、何度も登場する食べ物の方が魅力的だったりします。

「ピーターはうなずいてポットを置き、もう暗記しているであろうメニューに丹念に目を通した。

ミスター・シェンがテーブルを訪れ、自ら獲ってきたといわんばかりの笑顔で新鮮な貝柱を薦める。そこで、お薦めに従い、併せてクレソンと腐乳(フウルウ)の炒め合わせも注文した。

店のサービスの揚げ麺や、揚げて唐辛子をまぶし一インチほどに切った干魚をつまんで、用件に入った。……わたしは小さな干魚の先端を特製激辛ソースに浸し、考え込んだ。

料理が運ばれてきて、わたしは口をつぐんだ。肉厚のシイタケで囲んだ白くつややかな貝柱の油炒め、エメラルド色のクレソンを盛った皿、いい匂いの湯気を立てる山盛りのご飯、ピーターには中国産のビールと並べられていく。

わたしは貝柱とシイタケを頬張った。なめらかで甘みのある貝柱が明るく広々とした大洋の潮の香りを、歯ごたえのある分厚いシイタケが豊饒な黒い大地の味わいをもたらした。」p.29

「キャナル・ストリートに沿って連なる屋台のひとつで、葱餅(ツオンビン)を四枚と鶏の照り焼きを買った。

わたしは恐怖が去り、早鐘のような鼓動が収まり、危険を察知して粟立った肌がもとに戻ると、常に猛烈な空腹感に襲われる。だが、そのためではないと胸のうちで言い張った。

鶏の照り焼きで額から拭った汗を補えるものではないし、オフィスで懸命に呼吸を平常に戻そうとした努力と葱餅はなんら関係がない。たまたま昼食どきになったからだ。

「リディア、どうしたんだい? それはなに?」
「昼ご飯よ。お茶はあるかしら?」

ピーターはやかんを火にかけた。わたしは葱餅の容器を開け、蓋をデスクのピーターの側に置いて二枚と半分を載せた。アルミの容器と葱餅の残り一枚半はこちら側に留まった。わたしは間に合わせの皿にテイクアウト容器からご飯をよそい、醤油色に光る手羽を載せた。

「誰か変な人は訪ねてきた?」
「きみのほかに?」

わたしはパリッと焼けた塩味の葱餅を口に入れた。」p.94

『美味しんぼ』に出てきた葱餅を真似して作って食べたことがありますけど、ニューヨークのチャイナタウンの屋台で売っている葱餅(ツオンビン)と同じものでしょうか?

ツレヅレハナコ 2012年10月7日(日)
池袋「陳さん台湾料理教室(葱油餅)」
http://turehana.exblog.jp/19780005/

読書メーター S.J.ローザンの本棚
http://bookmeter.com/u/32140/cat/9047
の登録冊数は13冊(長篇11作、短篇集2冊)です。
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