思ひ出でてもしも尋ぬる人もあらばありとないひそ定めなき世に
大僧正行尊
歎く事侍りけるころ、大峰に籠るとて、同行(どうぎゃう)どももかたへは京へ帰りねなど申(まうし)て、よみ侍りける
新古今和歌集 巻第十八 雑歌下 1833
「私を思い出して安否を尋ねる人などがもしもあれば、健在だとはいわないでくれ。無常の世なのだから。」『新日本古典文学大系 11』p.533
行尊大僧正集、三句「人あらば」。
大峰 北は金峰山(きんぷせん)、南は熊野に続く山地で、修験道の霊場。
同行どももかたへは京へ帰りね 仲間の修行者たちも一部は都へ帰りなさい。僅かな同行とともに決死の行に挑もうとするのである。
「世を厭ふ」に寄せる雑歌。
行尊(ぎょうそん 1055-1135)平安時代後期の天台宗の僧・歌人。
金葉集初出。勅撰入集四十九首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では藤原道信と番えられている。
小倉百人一首 66 「もろともにあはれと思へ山ざくら花よりほかにしる人もなし」
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