三「海軍および大本営からの二百三高地攻略要請を、頑として受け付けない満州軍総司令
部。児玉源太郎大将が直々に反論した記録が残されている」
歩「いっぽう海軍と大本営も簡単には譲らない。東京では11月14日に御前会議まで行
い、二百三高地攻略案を決議しました。海軍に至っては、受け容れなければ補給物資
や補充兵の海上輸送を行わない、とまで言い出す始末デシタ」
榴「上層部の意見対立には第三軍首脳部も困惑したことが記録されていマス。乃木大将、
伊地知少将とも相当に悩んだようデス。何と言っても御前会議の決定というのは、天
皇陛下の勅命に近いものがあるし、乃木大将は東郷提督と仲が良くて、直々に要請を
受けていたこともわかっていマス。どうするべきか悩ましいところデス」
三「そうして11月26日から、第三回目の総攻撃作戦が実施されるのじゃ」
歩「まず初めは、前回と同じく要塞の東北正面からの塹壕戦を実施しました。攻撃目標は
前回攻略できなかった堡塁たちデス」
榴「しかしながらロシア側も、当然ここを攻撃してくると予想していて防御は固めていた
デス。この戦いはお互いに削りあいの様相を呈しマス。日本軍も一時的に堡塁を占拠
しますが、ロシア軍が直ちに反撃して奪うという状況が展開されました」
三「26日夜には有名な白襷隊による夜襲があり、鉄条網や地雷原で多くの損害を出しな
がらもロシア軍陣地に肉薄。敵も驚く勇猛果敢さを見せたが、ロシア軍も必死に踏ん
張り、今一歩のところで堅塁を抜くまでには至らなかったのじゃ」
歩「このように26日の攻撃は惜しくも実らず。ここで乃木大将が重大な決断をしマス」
榴「乃木大将と伊地知少将は、主攻撃目標を二百三高地に切り替えることにしたのデス」
三「満州軍総司令部の命令に思い切り反している。実際に満州軍総司令部から派遣されて
いた福島少将は、強硬に反対したのじゃが、乃木大将と伊地知少将の説明によって承
諾したことが記録されている」
歩「乃木大将と伊地知少将は満州軍総司令部の命令に反してまで、何故に二百三高地に主
攻撃目標を切り替えたりしたのでしょうかネー?」
榴「堅固な敵陣地攻略には、2通りの手段があり、手段Aがうまく行かないため、手段B
に切り替えたのだと思われマス」
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