■ 自転車の振動ってネジを緩めるね
最近のパーツやフレームに付いているネジには、必ずしっかり締め付けられる推奨トルクが指定されています。工具を使って締め込む推奨トルクが設定されています。つまりネジはトルクレンチを使って締め込みなさいという事です。緩みやすいアンダートルクも、パーツやネジを壊してしまう可能性がある、オーバートルクも良くないという事です。
締め付けトルクを管理して作業すれば、パーツやネジを壊さないし、しっかり固定できるはずです。締め付けトルクの国際的な標準単位は、ニュートンメーターが多いかな。Kg/cmという単位が表示されているものもあります。トルクレンチやトルクドライバーで締め付けトルクを管理できます。
メーカーの推奨トルクや指定トルクは、そのボルトやナットを締め込んで固定できる力の事。オーバートルクすればネジ山やボルトのヘッドを崩してしまったり、アンダートルクではボルトの頭と、相手の面との摩擦が不十分で、ネジが緩みやすい状態になってしまいます。
締め付けトルクの測定の前提として、ネジ穴のねじ山にゴミがなく、できればグリスなどのケミカルがネジとネジ穴に塗られて、指でネジを持ってするするとネジ込めて、しかもねじ込むボルトと、ネジ穴にガタがない状態という前提があります。
スムーズにネジが回る事が前提です。逆に、ネジがネジ穴の山に引っかかりがある状態では、ねじ込む時に抵抗が発生して、正しい締め付けトルクがトルクレンチで測定できない場合があります。
穴やねじ山をきれいにしてから締め込まないと、しめ込む時の抵抗で大きな締め付けトルクを発生させて、ネジ穴にボルトをねじ込み切っていないのに、推奨締め付けトルクに到達してしまうことがあり、締める途中で締め切れない事もあります。
ボルトを締め込んでいって推奨トルクで締め込むと、ネジ穴の面と、ボルトのナットの頭とが接触して、ナットの接触面はつぶれる事なくバネ力を保ち、そのこすれ合った面の摩擦抵抗で、ネジは緩みにくくなります。
ところが、メーカー推奨の締め付けトルクを上回り、オーバートルクでボルトを締め込んでしまうとどうなるか。締め付ける力が大きいのだから緩まなくなると思いがちです。
ところが、ボルトの頭がネジ穴の面と強く接触してオーバートルクで変形してしまい、接触面のバネ力による摩擦が保てなくなり、緩みの原因になるそうです。ねじ山もオーバートルクで変形してしまう事もあります。これはネジの専門家に聞いたので確かな事です。
オーバートルクで締めてもダメだし、推奨トルクでボルトやナットを締め込んでも、これで緩まないと安心していてはいけないのだ。何せ自転車が走る時に発生している路面からの振動や、ペダリングにより繰り返しかかる力も、ネジに対して繰り返しの振動と同じなので、緩みの原因になります。
では、グリスを塗った方がいいのか、ねじ山には基本的にグリスを塗って組み上げるのが機械の組み立ての常識です。ところがスポーツバイクのパーツにはそれが通用しない部分があります。
例えばカンパニョーロのウルトラトルククランクのハースジョイントの固定ボルトには、軽度のネジロック剤を塗って組み立てる方法が採用されています。工具をセットして緩めれば固定は解除されますが、確かにネジは緩みにくくなります。
ブレーキキャリパーのフレームやフォークに貫通するセンターボルトには、工具を当て力を入れれば緩める事ができる、軽度の強度のネジロック剤が塗られていて、それをそのまま組み上げてネジが緩んでこないようにする場合もあります。
バイクのネジの緩みの対策は、まずは最適トルクでネジを締める事、必要ならばネジロック剤を塗って組み上げる事、そして、半年に1回は、ボトルケージのような緩みやすいネジだけでなく、3mm、4mm、5mm、6mmのアーレンキーや、T 25やT30のトルクスレンチを持って、バイクの全てのボルトを増し締めや緩みのチェックをすることです。
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