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2016年06月27日20:00

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2週連続オークラ通い。山内作品にまたまたピンク大賞の予感

6月20日(月)  上野オークラ劇場
「萌え盛るアイドル エクスタシーで犯れ!」(国沢実)
額から男根を突きだしたヘンな神様から、アイドルおたくの若者へ、≪デス・ノート≫ならぬ≪EROS NOTE≫が与えられる。性的願望を記せば何でもかなえられるということだ。映画はそこから、別の神の出現で神様論の蘊蓄があったり、ついには宇宙空間にまで舞台が拡張し、最後は夢ともうつつともつかない虚実皮膜の幻想空間に至る。ここのところ、変態を核に等身大の男女を追うことが多かった国沢実監督の、久しぶりのブッ飛び映画だ。ただ、ブッ飛び過ぎて、とっ散らかったまま終わってしまった感も否めない。センス・オブ・ワンダーの大風呂敷を拡げながら、SF的にキチッと収束させたかつての樫原辰郎脚本の、素晴らしさを改めて思い出させた。(まあまあ)

 なお、併映の「若妻 巨乳でご奉仕」は、「巨乳妻メイド倶楽部 ご主人樣いっぱい、出して」の新版再映。


6月22日(水)  立川シネマシティ

「教授のおかしな妄想殺人」(ウディ・アレン)
シニカルで生きる気力を失ったウディ・アレン好みの大学哲学教授が主人公、でも、ひょんなことから生きる気力を取り戻す。これは、アレン版「罪と罰」。軽やかなダイアローグとモノローグで綴るアレン節は、ここでも心地良い。ドストエフスキーへの反語に見せて、社会トータルとしてはラスコーリニコフ的にバランスが取れるというあたりが、私の趣味に合う。アレンは、意外に人間をポジティブに捉えている人だと思う。でも、この邦題は何とかならなかったのかなあ。ミステリー仕立てだけに、私は変に先読みをして、やや混乱してしまった。確かに、日本語は微妙だから、どの語彙がどれにかかるかということで、題名に嘘はないんですけどね。(よかった。ベストテン級)

「貞子VS伽椰子」(白石晃士)
「リング」と「呪怨」の世界が交互に描かれ、やがて合流していくあたりは「キングコング対ゴジラ」の如し。両者が呪いをかけた獲物を奪い合って対決する趣向が楽しい。貞子と伽椰子のバトルの絵面は魅せる。最後は馬鹿馬鹿し過ぎて、大爆笑するしかないが、でもこの続きは見たくなるよね。(よかった)

「クリーピー 偽りの隣人」(黒沢清)
引っ越し先のお隣の、温厚なような変質者のような不気味な主人。一言で言えないこんな男を香川照之が、絶妙に表現する。結局、サイコパスにして、人の闇につけ込み支配するある種の超能力者の顔が、次第に露わになる。でも、こうなってしまうと何でもありで、ミステリーとしては反則だ。ただ、隣家の奥の間のシュールさから鑑みて、黒沢清はリアルな世界を描く気はなかったのだろう。地域社会が崩壊し、「隣は何をする人ぞ」になった21世紀日本ならではの恐怖を狙ったのかもしれないが、後味の悪い映画だ。(あまりよくなかった)

 私に、町会役員が10年強に一回廻ってくる。会費や赤い羽根募金・歳末助け合い運動・赤十字募金etcを集める程度しか仕事は無いのだが、それでも担務すれば結構面倒だ。けれど、10年に一回くらいは、その機会にご近所を再確認し、立ち話し程度でも世間話をするのは、それなりに意義もあるとは思った。そんな縁で私も、役員でなくとも役員の人と、年に1回立ち話しをする。

 ところが、最近はその様相が変わってきた。ポストにメモが放り込んである。その指示に基づいて役員のポストにお金を放り込む。すると、家のポストに領収書が放り込み返されてくる。いや、私が役員の3〜4年前にも、鬱陶しいからそのスタイルをとってくれと言った家が一軒あった。今はそっちが完全に主流だ。こんなのなら、町会の意味ってあるのだろうか?私なりに地域社会の崩壊を感じた一幕である。


6月23日(木)

 TOHOシネマズ シャンテ
「帰ってきたヒトラー」(ダーフィスト・ヴネント)
自決したヒトラーが、その瞬間に現代にタイムスリップしてしまう法螺話。周囲は信じるわけもなく、ちょっと変わった芸人としてもてはやされるうちに、移民問題などを抱えるドイツで、ズバズバの物言いが、次第に支持を集めていく。筒井康隆の小説にありそうなネタだが、映画にするとなると、それがソックリショーでは白けてしまう。そこにリアリティを感じさせたのは見事だったが、社会風刺としては、よくあるパターンで新鮮さはない。(まあまあ)

 時代が混沌としてくると、とんでもない反動が力を得るのは、珍しいことではない。昭和40年頃、「あ丶同期の桜」がブームになったのも、そんな一例であったと思う。この頃の若者(当時の我々です)は、無気力なフーテンだったり、軽薄だったり、あるいは学生運動などで大人に反逆的だったりした。「昔の若者は純粋だった」「軍隊に叩きこんで鍛え直せ!」そんな一部大人達の心情が、ブームの底流の一つにあったように思う。

 最近では、ズバズバとタブー発言を連発し人気を集めたトランプ旋風もその一つだろう。民主党政権の体たらくが、よりマシな自公政権に過大権力を与えたのも、混沌とした時代の産物だ。その結果、安保法・秘密保護法と暴走が止まらない。

 でも、これも一つの寄り道だと信じる。人類社会はジグザグしながら、確実に進化するはずだ。昭和40年頃(60年代半ば)と比べれば、アパルトヘイトは消滅したし、圧政軍事国家ソ連は崩壊したし、文化大革命が大虐殺だったことが白日の下に晒されたし、黒人大統領がアメリカで誕生するし、確実に進化しているのだ。


 Cafeボローニャ麹町ゴルフ倶楽部
        「映画で日本を元気にするプロジェクト」チャリティ上映会

「鯛の酒蒸し」(太田博)
彼女にフィアンセがいることを知った男が家におしかけ、鯛の酒蒸しを作りながらの彼女とのチグハグなやりとりとのスケッチだが、タイトルの「鯛の酒蒸し」が、あまり効果的だとも思えなかった。(あまりよくなかった)

「猿芝居」(渡邊世紀)
女の部屋に入った空き巣が元彼と鉢合わせ、窮余の一策で「今の彼氏」を騙るが、実はその男の正体は…。これだけでネタが割れちゃうかもしれないが、そのネタの割り方がユーモラスでスマート。優れたショートショートコントの味わいだ。(まあまあ)


6月25日(土)  上野オークラ劇場 
    「性辱の朝 止まらない淫夢」公開記念 舞台挨拶&トークショー
                            サイン&撮影会

「むっちり家政婦 吸いつきご奉仕」(渡邊元嗣)
リストラされて妻に浮気(?)されているみたいな男と、腐れ縁で幼な馴染みのツッパリ女子にパシリに使われている息子。何とも情けない親子に、猫の恩返しと天使のファンタジーをからませ、男女優各三人のオークラ定番の枠組みで、ハッピーに終わらせる渡邊元嗣の職人技だ。(まあまあ)

「人妻痴漢教習 バックからOK!」(坂元太)
念願のマイホームを手にしたけど、遠距離通勤でインポになった夫。妻が免許取得して送迎し、負担を軽くするように考えるが、免許早期取得の闇教習所がとんだ喰わせ物。教習所だか性感の解放所だかよくわからない。何ともシュール、いやいやそんな大袈裟なことでもなく、何でもエッチのネタにしてしまうXces流でしかない。前世紀の映画だけに、走りながらの路上での車中の濡れ場ロケが連発されているのは、今では考えられないところ。交通安全協会非推薦作品である。「痴漢教習所 握って!」の新版再映。(あまりよくなかった)

「性辱の朝 止まらない淫夢」(山内大輔)
不倫、殺人淫楽症の通り魔殺人、レイプ、バイオレンス、異形メークのゲテ物デリヘル嬢の群れと、まあ、山内大輔流のドロドロ血みどろスプラッタは、ここでも満開。それでも後味が悪くないのは、ファンタスティックな展開で朝倉ことみこと「ことみん」のトリプルキャストを駆使し、夫役の川瀬陽太の彼女への愛の深さで貫いたところだ。これは2部作で、ファンタジーにはいくつかのカラクリがあり、舞台挨拶の監督の言では、9月公開の次作での謎解きもあるということだ。最終評価は完結まで待ちたいが、この時点で私にとってピンク大賞作品賞の重要候補である。(よかった)


 ここまでで、今年のスクリーン初見観賞作品は145本。

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