昔、読んだミステリ。
ディック・フランシス『標的(ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 池澤夏樹解説 辰巳四郎 カバーデザイン
早川書房 1996年9月刊。
http://bookmeter.com/cmt/5188732
http://bookmeter.com/b/4150707294
https://www.amazon.co.jp/dp/4150707294
「念願の作家としてスタートを切ったサヴァイヴァルの専門家ケンドルは、有名調教師トレメインの伝記執筆を引き受け、彼の厩舎に赴いた。だが到着早々、行方不明だった女性厩務員の他殺体が発見され、ケンドルは警察に協力を要請される。やがて、容疑者と目された隣人が何者かから謎の呼び出しを受け、ケンドル自身にも犯人の魔手が…サヴァイヴァルのプロがその知識と技量を尽くして立ち向かうことになる非情の罠とは。」
1990年に英国で発表された「競馬シリーズ」第29作。
原題 Longshot
翻訳は1991年11月にハヤカワ・ノヴェルズ(単行本、ハードカバー 装幀 辰巳四郎 解説 典厩五郎)で刊行され、ハヤカワ・ミステリ文庫に収録されたのは1996年9月。
私は図書館から借りたハードカバーで読みました。
その後、ブックオフでノヴェルズ版を購入して数回再読。
主人公は元旅行会社勤務でサヴァイヴァル・ガイドブックを執筆していた作家、ジョン・ケンドル(三十二歳)。
有名調教師の伝記を書いて欲しいという依頼を受けたところから物語が始まります。
「一週間か十日生き続けるために、スーパーマーケットで、食料品に割り当てた金を使って目的を果たすのに足るだけの物を買い入れた。
袋入りスープ多数、パン1ローフ、スパゲッティ1箱、ポリッジ・オーツ1箱、ミルク1パイント、カリフラワーとニンジン少々である。
食べたくなったら野菜を生で食べるが、そうでない場合はパン入りスープ、スープをかけたスパゲッティ、ミルクをかけたポリッジを楽しむ。
たまには紅茶、マーマイト、塩を買うこともある。どうしても食べたくて我慢ができない時はごくたまにクランペットとバターを買う。
しばしば空腹を覚えることはありながら、私はずっと最高の健康状態を保っている。」p.22
「「ガレスとトレメインに夕食を作る約束をしたのです」
フィオウナが言った。
「そうだと、ピザでなくてすむわ! あの二人、夕食は十日のうち九日はピザを食べるの」p.86
「「何が食べたいのだ」
「本物のシェパーズ・パイ、スーパーの、箱に入っていてボール紙の味がして小人でもおなかが一杯にならないようなやつじゃなくて」
「本物の簡単なシェパーズ・パイ、まず、羊飼い(シェパード)をつかまえることだ」
ガレスがにやっと笑って、私が挽き肉、オニオン、グレイヴィ・パウダーと乾燥した香料植物が入っている広口瓶を揃えるのを見ていた。
粉を水少々に溶かして肉に混ぜ、細かく刻んだオニオンを加え、香料を少々振りかけ、全部を深鍋の中でかき回して蓋をし、とろ火にかけた。
「次に決めるのは、本物のジャガイモか、それとも乾燥したポテト・グラニュールを使うかだ」
熱した液体に入れたポテト・グラニュールを楽しそうにかき混ぜていた。
私たちは、丸いパイ皿に入れた煮えている肉の上にふかふかのポテトをかぶせた。オヴンに入れて上に焦げ目をつけた。出来上がったものを二人で腹一杯食べて、きれいに後片づけをした。」p.152
今、読んでいる(眺めている)、
松井ゆみ子『家庭で作れるアイルランド料理 ケルトの国からの素朴であたたかな家庭料理レシピ集』河出書房新社 2013.1
https://www.amazon.co.jp/dp/4309283578
にも、ジャガイモ料理としてシェパーズパイが登場します。
美味しそうだなぁ。
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