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2016年06月24日23:31

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いくつか問題はあるがジャスティス・リーグ開幕への期待 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』

バッドマン vs スーパーマン(ヘンリー・ガヴィル)――。
ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、
『マン・オブ・スティール』であったスーパーマンと将軍の対決で、
部下や同僚を失い、スーパーゴッズ *1 を憎悪する。

特撮の巨人と怪獣の戦闘で無名の人々の犠牲はいないか?
ヒーローが殺害するモブ悪人に善良な隣人は存在しないのか? *2
巨大な善の側(かたわら)で憎悪が芽吹く。
だが、巨大な善がなされなければ、より多くの悲劇が発生した。

そのジレンマがザック・スナイダーの今回の表現と追及だ。
とはいえ、その辛気くささと深刻さが、
一部不評の原因でもあるのだが。*3

このため途中まで、まったくこじらせヒーローとなったバッドマンは、
クリプトナイト *4 を手に入れスーパーマン弱体化のガスを発明。
アーマードバッドスーツを作り、神の男の拳を受け止め、
宣言する。「これこそ“人間”の力だ」と。

その憎悪をまんまとルーサーが利用する。
この社長、どこかの社長 *5 と同じ悪人に都合の良いカモネギメンタルだ。
対立する2人が手を取り合うきっかけが同じ名の母親だという落し所は上手い。
母は男の永遠の女神。ヒーロー以前に人間性をゆさぶる説得力だ。

ルーサーの行動原理が不明なところ、*6
前半にアクションがほとんどないなど、すこし問題はある。

ただ、ワンダーウーマン活躍の高揚感や、
今後登場するDCヒーローの片鱗など見所は多い。
ジャスティスリーグ開幕がたのしみだ。


※1 グラント・モリソンの著作より。いってみればスーパーマンはアメリカの体現で、そのほか数多くのアメコミヒーローは神話の神に近い。

※2 観客は創作においてヒーローの視点で物事を把握する。だけれど仲間を失う悪人や被災した一般市民の視点で物事を把握するなら、ヒーローは憎悪の対象になってもいいはずだ。この視点は、くしくも『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にも導入されることになった。現在のアメコミの「トレンド」かもしれない。

※3 ザック・スナイダーの悪い部分は作品にペーソスを入れ込みすぎる部分で、本作にヒーロー必須の爽快感や高揚感はとぼしい。その不評をまともにかぶってしまったのはベン・アフレック = バットマンだ。あるインタビューでアフレックが批判意見を哀切な表情で肯定する動画はバイラル動画のネタにされた。https://www.youtube.com/watch?v=wtfoRESVir0。 なにいってんだよ! オレはベン・アフレックのバットマンすきだぜ! ヘンリー・カヴィルのフォローに友情を感覚する。

※4 本作は一部を『バットマン:ダークナイト・リターンズ』から拝借している。(最後の葬儀の構図が“真逆”の部分がおもしろい)。『〜:ダークナイト・リターンズ』でもクリプトナイトの武器はスーパーマンを追い込む重要な要素だ。

※5 その社長はプレイボーイで、空飛ぶハイテクスーツーアーマーを装備し、様々な発明を行う世界的大企業のオーナーだ。思い悩む性格で、懊悩が大抵危機を呼び込む。そろそろいいかげんにしてくださいよ。社長。

※6 ただ、レックス・ルーサーが原作を踏襲した純粋な道化(トリックスター)なら、ルーサーの行動原理に理由などいらないのだろう。なぜならルーサーは物語を盛り上げる道化であって、それ以外何者でもないのだ。
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