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2016年06月19日11:55

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MM9

を読んだ。OKさんに借りて。2016年6月3日。
東京創元社。山本弘著。
 現実の地球にそっくりだが、いわゆる「怪獣」が実在し、その被害が自然災害として気象庁の災害対策の管轄になっているという世界が舞台。
メインになるのは「気象庁特異性物対策部」略して「気特対」の活躍だが、この組織はなにしろ気象庁の管轄なので、怪獣と直接戦ったりはしない。
怪獣と直接戦うのはあくまで自衛隊の仕事であり、「気特対」は怪獣の早期発見と能力や行動の分析によって、自衛隊や政府にアドバイスを行うのだ。
 そもそも「怪獣」という存在は重量の問題をはじめとして、科学的な整合性をとるにはあまりにも無理な部分が多すぎる。
そこを「多重人間原理」という、「怪獣は怪獣の属する世界の物理法則に従っている(意訳/笑)」という説明をでっち上げることでSFとしても成立させているのは流石。
 本作は連作短編の形式をとっている。

第一話 緊急!怪獣警報発令
 海上自衛隊の潜水艦<あましお>が正体不明の怪獣と接触。
全長100m近い怪獣が日本を目指しているとの報告に、気特対は騒然となった・・・。
 怪物の正体を探るミステリー色の強い作品。
この作品だけだと全然「怪獣」らしくないので、初っぱなから化夢宇留仁的には少し肩すかしを食らったような気分になった。
まあまあ面白かったのだが。

第二話 危険!少女逃亡中
 あどけない少女にしか見えない怪獣が出現。ただし身長約20m。
怪獣の質量から危険度を表すMM(モンスターマグネチュード)ではぎりぎり5を切り、即時退治の必要はないが、人間に死傷者が出れば退治対象となる・・・。
 なんだかんだで裸の少女を出してくるのは非常にこの著者っぽいと思った(笑)
怪しい組織の活動も匂わせ、いろいろつまった良作になっている。
やはり好きなだけあって怪獣らしい描写は流石にうまい。

第三話 脅威!飛行怪獣襲来
 遙か彼方の外国から、一目散に日本目指して飛んでくる怪獣。それはなぜか?
また怪獣からは強い放射線が確認され・・・。
 三話目にしてようやく直球の怪獣らしい怪獣の登場。
やはり直球はそれだけで盛り上がり、自衛隊の描写も光る。
ちょっとウルトラQっぽくもあったが(笑)

第四話 密着!気特対24時
 気特対にテレビの密着取材が入り、慣れない演技を共用される隊員達。
そんなところに植物型の怪獣出現の報が・・・。
 基本的にパロディ回だが、気特対の普段の様子が分かって面白い。

第五話 出現!黙示録大怪獣
 少女型怪獣「ヒメ」は人間サイズに戻って大人しくしていたが、ある無人島で発見された怪獣の目覚めが近づくに連れ、暴れるようになっていた。
それは太古から続く神話世界の戦いが迫っている兆しだった・・・。
 とうとう現れるMM9級怪獣、その名も「クトウリュウ」!
今回はこのクトウリュウとヒメとの戦いが焦点となるが、その周りを固める設定部分でも興味深い点が多かった。
「怪獣」のカテゴリーの中には、いわゆる「妖怪」も含まれている。
彼らが存在できるのは「多重人間原理」で説明される、「神話世界」の存在のためである。
しかし次第に全てが科学で説明される「ビッグバン世界」の範囲が広がり、怪獣や妖怪達は数を減らしている。
このままでは存在が消滅してしまうことを危惧した妖怪達が、MM9級の怪獣を暴れさせることで「神話世界」の存在感を増そうとしていた。
この辺の設定は非常に綺麗にまとまっていて、この著者ならではの優れたバランス感覚によるところだと思う。
ヒメは完全にウルトラマンのオマージュとなっていて、これは面白かったがこのシリーズはあくまでウルトラマンはいないが怪獣はいる世界が舞台だと思っていたのでこれまた少し肩すかしだった。

 総じて面白かったが、予想と違う内容だったところも多かった。
もっとヘビィな雰囲気を想像していたのだが、それは表紙によるものかもしれない。
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