CDの数がどんどん増えてくると、
放ったらかしにしてしまうCDや忘れられてしまう可哀想なCDがいくつもありますが、
数回の引っ越しの中で行方不明になってしまう気の毒なCDもあります。
数日前にやっと発見できたこのCDはだいぶ前に買ったものです。
このCDにはルチア・ポップというソプラノ歌手が1982年に録音した
リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」が入っています。
(右側の椅子がある写真)
この曲は私の大好物で、さまざまな歌手による10種類のCDがあります。
シュヴァルツコップ、リーザ・デラ・カーザ、ヤノヴィッツ、ノーマン、キリ・テ・カナワ、
ステューダー、アーリーン・オージェ、バーボラ・ボニー、ポップ(新旧の2種)。
秋に来日する69歳のグルヴェローヴァには、
引退前に是非この曲を録音してほしいです。
この43歳のポップが歌っている1982年に録音されたCDは、
声が瑞々しく伸びやかな演奏になっていました。
うまく歌おうというよりも、むしろ自然体という方が合ってると思います。
指揮はクラウス・テンシュテット、オケはロンドンpo。
ちなみに写真の左のクリムトの絵画「ユーディト」があるCDは、
ポップが54歳で亡くなる半年前に録音した同じ曲が入っています。
生涯最後の録音です。
端正に歌っていますが、テンポはやや早くなっていて、
ゆっくりと歌うのがキツイのかな…と思うと胸がつまります。
この2つの新旧盤の比較については、いつか書きたいと思います。
数日前に見つかったCDの解説をよく読んでみたら
これはなかなかユニークな企画ものであることが、
いまごろになってやっと分かりました。
このCDは、EMIに残された膨大な録音の中で、
同一の指揮者、オーケストラによる組み合わせで、
それがあたかも、ある日の演奏会のプログラムのような構成で選曲され編集された
「アームチェア・コンサート」という企画CDのひとつだったことです。
全部で10種類あるようです。
1.ロンドン・フィル&クラウス・テンシュテット
・ベートーヴェン:エグモンド序曲
・Rシュトラウス:4つの最後の歌(ルチア・ポップ)
・ベートーヴェン:交響曲第6番
2.バーミンガム市響&サイモン・ラトル
・ブリテン:カナダの謝肉祭
・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(セシル・ウーセ)
・シベリウス:交響曲第5番
3.ロンドン響&アンドレ・プレヴィン
・デュカス:魔法使いの弟子
・ラプソディ・イン・ブルー
・ホルスト:惑星
4.ベルリン・フィル&カラヤン
・Jシュトラウス:こうもり序曲
・モーツァルト:ハープとフルートのための協奏曲
・シューベルト:未完成交響曲
5.フィルハーモニア管弦楽団&リッカルド・ムーティ
・ヴェルディ:運命の力序曲
・モーツァルト:バイオリン協奏曲第4番(ムター)
・チャイコフスキー:交響曲第4番
6.ハレ管弦楽団&バルビローニ
・ニコライ:ウィンザーの陽気な女房たち序曲
・マーラー:さすらう若人の歌(ジャネット・ベーカー)
・ブラームス:交響曲第4番
7.ロンドン・フィル&アドリアン・ボールト
・グリンカ:ルスランとルドミューラ序曲
・エルガー:チェロ協奏曲(トゥルトゥリエ)
・チャイコフスキー:ロメオとジュリエット
・リムスキー・コスサコフ:スペイン狂詩曲
8.ロイヤル・フィル&ビーチャム
・ブラームス:大学祝典序曲
・モーツァルト:クラリネット協奏曲(ジャック・ブライマー)
・ベートーヴェン:交響曲第4番
9.アカデミー管弦楽団&ネヴィル・マリナー
・モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
・ハイドン:チェロ協奏曲第2番(リン・ハレル)
・モーツァルト:交響曲第40番
10. フィルハーモニア管弦楽団&クレンペラー
・モーツァルト:フィガロの結婚序曲
・シューマン:ピアノ協奏曲(アニー・フィッシャー)
・メンデルスゾーン:交響曲第4番
もしこの架空の演奏会のどれかを本当の生で聴けるのなら
私は10のオットー・クレンペラーが指揮した演奏会が
圧倒的に行ってみたいです。
アニー・フィッシャー女史も好きなピアニストです。
2.の若きサイモン・ラトルの演奏も気になる。
シベリウスの5番という選曲がいい。
実は札幌勤務時の97年ごろ、札幌コンサートホールで
彼とバーミンガム市響の来日公演へ行くはずだったのに、
この日に限って、東京出張になってしまって聴きにいけず、
友人にチケットをプレゼントしたという経緯があるのです。
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