先週、荒木源著「オケ老人!」という小説を読みました。
クラシック音楽好きやアマオケ経験者にとっては、「あるある」と思いながら
愉快に読める本だと思います。1日半ぐらいで読了しました。
タイトルは「ボケ老人!」じゃなくて「オケ老人!」です。
一文字ちがうだけで大変なことになりますが、
著者はそのあたりに笑いの部分を含めているのでしょう。
これは高齢者のメンバーが多いアマチュア・オーケストラの話です。
その「梅が岡交響楽団」(略称・梅響)に、
高校教師・中島は間違えて入団してしまうことから物語ははじまります。
超ヘタクソな梅響にあって、ましなほうな中島が指揮者に抜擢されていまいます。
本当は中島は実力があるアマオケ「梅ヶ丘フィル」に入りたかったのです。
そして、梅響団員の高齢者特有の問題(健康やオレオレ詐欺など)が出る一方で、
ロシアの人気指揮者ゴルゴンスキーやロシアの国家機密なども登場。
そして最後は梅響の定期演奏会の成功で大円団。
劇中にでてくるゴルゴンスキーとうい指揮者のモデルは
ワレリー・ゲルギエフあたりかな?とか、
梅響の定期演奏会の演目でもある
ベートーヴェン作曲エグモント序曲やドボルザークの交響曲第9番の描写などは
その曲を知っている人はなかなか興味深いものがあると思います。
そして演奏する側と聴く側とでは、曲の見方考え方ががちがうところも興味深い。
たくさんの要素がおもちゃ箱のように
ごちゃまぜになっている小説にもかかわらず
それらが非常に整理された感じがしました。
それがなぜが考えてみました。
この小説の構成は、交響曲に似せて、
第1楽章〜第4楽章、そしてアンコールとなっています。
そして各楽章は
第1主題が、梅響のはなし
第2主題が、ロシアの諜報機関のはなし
それらの2つの主題が、ソナタ形式のように
(提示部)→(展開部)→(再現部)→(場合によってはコーダ)
のいう感じですすんでいくので、頭の中で整理しやすいのだと思います。
そして最終章のアンコールでは第1主題と第2主題がアウフヘーベンに至ります。
小説のオチは書きませんので、
興味がある方は読んでみてください。
この秋、「オケ老人!」が映画化されるようなので楽しみです。
「のだめカンタービレ」「神童」「マエストロ」「さよなら、ドビュッシー」
「ピアノの森」「ミュジコフィリア」など
最近、クラシック音楽系の映画やコミック、小説、
本当に増えましたね。
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