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2016年03月21日12:22

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「オケ老人!」(荒木源著)とその構成

先週、荒木源著「オケ老人!」という小説を読みました。
クラシック音楽好きやアマオケ経験者にとっては、「あるある」と思いながら
愉快に読める本だと思います。1日半ぐらいで読了しました。

タイトルは「ボケ老人!」じゃなくて「オケ老人!」です。
一文字ちがうだけで大変なことになりますが、
著者はそのあたりに笑いの部分を含めているのでしょう。
これは高齢者のメンバーが多いアマチュア・オーケストラの話です。
その「梅が岡交響楽団」(略称・梅響)に、
高校教師・中島は間違えて入団してしまうことから物語ははじまります。
超ヘタクソな梅響にあって、ましなほうな中島が指揮者に抜擢されていまいます。
本当は中島は実力があるアマオケ「梅ヶ丘フィル」に入りたかったのです。
そして、梅響団員の高齢者特有の問題(健康やオレオレ詐欺など)が出る一方で、
ロシアの人気指揮者ゴルゴンスキーやロシアの国家機密なども登場。
そして最後は梅響の定期演奏会の成功で大円団。

劇中にでてくるゴルゴンスキーとうい指揮者のモデルは
ワレリー・ゲルギエフあたりかな?とか、
梅響の定期演奏会の演目でもある
ベートーヴェン作曲エグモント序曲やドボルザークの交響曲第9番の描写などは
その曲を知っている人はなかなか興味深いものがあると思います。
そして演奏する側と聴く側とでは、曲の見方考え方ががちがうところも興味深い。

たくさんの要素がおもちゃ箱のように
ごちゃまぜになっている小説にもかかわらず
それらが非常に整理された感じがしました。
それがなぜが考えてみました。

この小説の構成は、交響曲に似せて、
第1楽章〜第4楽章、そしてアンコールとなっています。
そして各楽章は
第1主題が、梅響のはなし
第2主題が、ロシアの諜報機関のはなし
それらの2つの主題が、ソナタ形式のように
(提示部)→(展開部)→(再現部)→(場合によってはコーダ)
のいう感じですすんでいくので、頭の中で整理しやすいのだと思います。
そして最終章のアンコールでは第1主題と第2主題がアウフヘーベンに至ります。

小説のオチは書きませんので、
興味がある方は読んでみてください。
この秋、「オケ老人!」が映画化されるようなので楽しみです。
「のだめカンタービレ」「神童」「マエストロ」「さよなら、ドビュッシー」
「ピアノの森」「ミュジコフィリア」など
最近、クラシック音楽系の映画やコミック、小説、
本当に増えましたね。

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