少し落ち着いてきたので、昨日起こった衝撃の事実を書くことにしよう。
人生の摩訶不思議。
悪戯が過ぎる神様の話である。
昨日の朝、僕は頗る快調だった。
退院は目前、そう信じきっていた。
ところが僕は山頂を目の前にして、再び谷底、いや奈落の底に突き落とされるのである。
それは昼前だった。
寒気がし震えがで始めたのだ。
これまで2度経験した悪夢の予感。
必死でこらえた。
布団にくるまり寒気を抑えようと念じた。
決してナースコールをしてはいけない。
ここで熱を出せば退院が遠ざかる・・・
だが・・・
限界はすぐに来た。
震えはますます酷くなる。
僕はボタンを押した。
38度。
院長が飛んでくる。
お腹に痛みがないことを告げると首をかしげる。
しばらく様子を見ることになった。
震えは続き熱は上がり続ける。
院長を呼んだ。
「原因不明」と言った。
その時僕は決心した。
転院だ
県立中央病院に送られた。
ただそれだけで安心したが、悪夢はここからが本番だ。
若い医局員たちが横たわる僕の周りに集まる。
質問が矢継ぎ早に飛んでくる。
血液検査をする。
点滴をさす。
これまでのデータを確認する。
エコー検査をする・・・
そしてCTを撮った。
結果を待つ僕に担当医が告げた。
「腸壁に穴が空いている。手術します
」
東京の姉に電話をしSOS.
担当医が電話で説明している。
明日(つまり今日)午前の便でやってくる。
ベッドの上で説明を聞く。
準備をさせられる。
鼻から管を通す。
尿道に管を入れる。
やがて手術室に運ばれる。
明るい。
明かりを見上げる。
これが無影灯か。
麻酔をされる。
いやこれから麻酔をすると聞いただけだ。
どれほどの時間が経ったのかは分からない。
名前を呼ばれ、無事終わったと告げられる。
お腹が痛い。
眠れなかった。
テレビから朝ドラのテーマが流れてきても痛みは治らない。
昼頃、姉が到着した。
娘からも再三メールが来た。
そして今。
鎮痛剤のおかげで痛みは和らいでいる。
でもまだベッドから動けない。
激流に流され続けた10日間。
神様の悪戯にも程がある。
今日、担当医から聞いた。
まるで爆弾を処理するような大変な手術だった、と。
今はだいぶ落ち着いている。
だが、この先どんな激流が続くのか、それを思うと暗澹たる気持ちになってくる。
桜はもうすぐ咲くというのに・・・
ログインしてコメントを確認・投稿する