老建築士の設計事務所で働き始めた青年の物語。
戦前、戦後、アメリかで修業を積み、決して
公共の大きな建物には食指を動かさず、
ひたすら、生活空間を求めた派手さはないが
愛される施設を求める建築家、村井俊介。
そんな彼に憧れて入所した坂西徹。
浅間山の麓の夏の家の寺務所で暮らした一年が書かれている。
建築とは何か、家とは、生活とは、
すべてを追求するために、
鉛筆の削り方から習う。
軽井沢の自然の営みや、
軽井沢に住む人々、
農園を営む高齢の女性と先生の関係、
植物に掛ける深い知識。
女性ピアニストとの淡い恋、
クラッシック音楽の深さ、
会う人々の関して
その道の知識や心を
前面に網羅した長編小説である。
時代は東京オリンピック(1964年)ごろの
高度成長時代。
終板には回想となって締めくくられている。
建築に興味がなくても、
自然植物、や料理、家具、
車やバイク、音楽、
どれひとつ、手を抜いていない。
どれかは当てはまる、
新しい読み物だと思う。
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