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2016年01月29日20:58

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弟子は師に似る…@カマキン

1/27に片道3時間半かけて鎌倉へ行ってきました。
今月末で閉館する
神奈川県立近代美術館鎌倉館(通称・カマキン)をみるためです。
65年前に鶴岡八幡宮境内に開館しました。
戦後5年目にできた、わが国最古の近代技術館です。

私が横浜市鶴見区に住んでいた時はよく行っていましたが、
それでも20年ぶりの訪問となりました。

設計したのは坂倉準三氏。
65年も経っているのに、それほど古さを感じないのは、
デザインだけでなく、
内部j区間と外部の自然を自由自在につないだ
巧みな空間構成にあると思います。
前庭からのアプローチ階段、
2階の展示空間を出た時の中庭の広がり、
1階の平家池に面したテラスなど、
いきいきとした空間に触れることができます。
下の写真は、今回撮ってきたものです。

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私が建築学科1年生の時のころといえば
ポストモダンの終焉も近く、
脱構築主義の萌芽がみえはじめたころです。
ですが、大学の授業では
近代モダニズムを最初に学びます。

ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエら
三大巨匠の作品の写真や図面をみながら、
建築模型をつくる実習がありました。
その時、日本の近代建築の作品集でカマキンを知りました。
第一印象は、「カマキンって、サヴォア邸に似てる!」。
設計者の坂倉準三氏がル・コルビュジエの弟子なので、
デザインが似てるのは
自然といえば、自然ですが…。
建築学科1年生にとっては新鮮なことでした。

下の写真は2002年秋にパリ郊外のポワシーにある
サヴォア邸を訪れた時のものです。

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サヴォア邸は85年前に竣工。
カマキンとは20年のひらきです。
ル・コルビュジエは近代建築の五原則、

ピロティ、
屋上庭園、
自由な平面、
独立骨組みによる水平連続窓、
自由な立面

を提唱しましたが、この考え方は
サヴォア邸が特によく出ていると考えられています。
実際にサヴォア邸をみた後にカマキンをみると、
この五原則を念頭において設計されていることが
いっそう、よく分かりました。

一方で、ル・コルビュジエが考えた
モジュロールという寸法や比例の考え方も
ディテールの寸法や建物全体のプロポーションをみれば
これも師の教えを踏襲していることが分かります。

これら以外では、
2階部分を上部に持ち上げて反重力的で軽やかなファサード、
内と外、1〜2階のつながりを感じさせる空間構成、
人の動きを意識したスロープや階段のデザイン
建築の色が「白」を採用
など、類似点があげられます。

坂倉氏の設計が、ル・コルビュジエに似たところが多いのは、
師弟関係だったところが大きいと思いますが、
実際、私たち建築設計に携わるものたちも、
ル・コルビュジエの書物や
「近代建築の五原則」や「モジュロール」の考え方に
つよく影響を受けていることは明らかです。
ル・コルビュジエ自身も、若い時の旅でみた
ギリシアの神殿群に影響を受けたことを書いています。
列柱や白い建物はその現れです。
サヴォア邸は、どことなく
パルテノン神殿の雰囲気を持っているような気がしませんか。

建築って、
影響を受け、一方で影響を及ぼしながら、
なにか新しいものを積み上げていることで
歴史がつくられているように思えます。

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