学生のころ、スキーバスの添乗のバイトをよくやった。
ツァーの添乗員とは別に、運転手の補助ということで添乗するのだが、主な職務は駐車の誘導と雪道のチェーンの装着・着脱。そして何よりも運転中のドライバーの補助と話し相手。
碓氷峠のあの事故現場も何度か通った経験がある。
急な登りのカーブの連続は思いのほか神経をすり減らす。
最期のカーブを上りきると長い下り坂。
ここで気を抜くとスピードが乗った状態で料金所前の急カーブにそのまま突入することになる。
年齢も離れた運転手とバイトは話題など合うはずもないが、明かりの消えた車内で運転手が話す内容に相槌を打ちながら、単調にならぬよう会話を進めるのが仕事なんだな。
運転手の会話が少なくなった時は、ウインドウを吹いたり、路面の状態の質問をしたりして気分転換を促すのが常だった。
この坂の話もそんな会話の流れの中で聞いたものだ。
当時は高速道路なんぞなかったからそんな珍道中で斑尾あたりまで行ったもんだ。
気に入ってもらえると立ち寄ったドライブインで貰えるご祝儀をそのままもらえたり次の添乗を指名してもらえたりするんだ。
3泊4日のツァーだと2日間は丸々スキーが楽しめる上、リフト代もタダだったりするので喜んでやってたなぁ。
運転手は宿でひたすらひたすら体を休め、帰途の運転に備えるわけで、僕は邪魔をしないようにツァー客さんたちと遊びまわっていた。
今回もそうだと思うのだが、「トンボ」といって現地について仮眠を取ったらそのまま違うツァーの帰りのバスを運転する過酷な業務もあった。当時は運転手からもバイトからも敬遠されていたが、その分稼げることからやる人もいるにはいたなあ。
規定が変わって2名勤務になることでコストがかさんだ分運転手にしわ寄せがいったなんてことはないだろうか?
経験が浅い運転手が当たり前にハンドルを握る怖さは当然だが、同乗の運転手との間に緊張感はあったのだろうか?
事故はどうにもやりきれないが、安いツァーだからといって安全面は保障されていることくらい当然だと誰もが思っているだろう。
規制緩和の弊害として競争の中で無理はどんどん弱い立場の人間に向いていく。
会社も悪いが業界も監督官庁も責任がないとはいえないだろう。
自由競争とはいえこうした業界は緩和に対応する監視体制がなければ今回のような事件はなくなることはないだろう。
それでなくても暖冬でスキー場は軒並み不況で、若者のスキー離れに拍車がかかることが心配だ。
■大型バス事業から撤退=ずさん経営「管理未熟」―転落事故で運行会社
(時事通信社 - 01月17日 18:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3807732
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