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2015年10月22日20:26

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感慨深いチョ・ソンジン氏のショパン・コンクール優勝

ポーランドで開かれていた第17回ショパン国際ピアノ・コンクールで
韓国人のチョ・ソンジン氏(21)が優勝したというニュースが
昨夜、世界に打電されました。

今回のコンクールにおける
彼やその他の参加者の演奏をよく聴いていませんので
この結果が妥当なものかどうかは言及できませんが、
5年前の実質的なデビュ・リサイタルを水戸市の佐川文庫で聴いた時、
このまま研鑽を重ねれば、
まちがいなく素晴しいピアニストになることを
私は確信していました。
結果がでて、たいへんに感慨深いです。

2010年3月15日のmixi日記で私は
「チョ・ソンジン君〜15歳の神童ピアニストに驚愕」と書きました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1437407937&owner_id=7886422

中村紘子女史が推薦する佐川文庫の
「若手ピアニストのリサイタル・シリーズ」に出演した彼は、
以下のような演目を演奏しました。

■チョ・ソンジン| ピアノリサイタル
■2010年3月13日(土)18:00@佐川文庫
♪ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
♪シューマン:幻想小曲集 作品12
♪ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
【アンコール】
♪ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」から月の光
♪ビゼー(ホロヴィッツ編曲):カルメン変奏曲
♪リスト:リゴレット・パラフレーズ S.434
♪ムソルグスキー作曲:組曲「展覧会の絵」から「殻をつけ雛どりの踊り」
♪リスト:パガニーニによる大練習曲S.141から第3番嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
♪リスト:超絶技巧練習曲S.139〜第1番ハ長調

熱情ソナタの冒頭をちょっと聴いただけで、
彼がタダモノではないことがすぐに分かりました。
音楽性、才能、テクニックだけでなく、
ただならぬ大物感を感じました。
それは持って生まれた揺るぎのない音楽的体幹が
彼に備わっていると思ったからです。
美しいタッチと音色、自然なフレーズ、
楽譜の読みを深く、洞察力と表現力も申し分ない。

その後、追っかけとまでは行きませんが、
可能な限り、彼の来日リサイタルへは行くようにしていました。
ちょど1年前、以下のようなリサイタルも聴いてきました。

■チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル
■2014年10月27日(月)19時@浜離宮朝日ホール

♪モーツァルト:幻想曲ニ短調 K.397
♪モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K.281
♪シューベルト:即興曲集D.935より第3番 変ロ長調 Op.142-3
♪バルトーク:「野外にて」Sz81
 【休 憩】
♪ショパン:即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
♪ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49
♪ショパン:4つのマズルカ Op.33
♪ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
 【アンコール】
♪リスト:『パガニーニによる大練習曲』第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネッラ」
♪ショパン:夜想曲第13番ハ短調 op.48-1
♪シューベルト:「楽興の時」第3番ヘ短調D780-3
♪ショパン:「12の練習曲作品10」第1番ハ長調
♪ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番ハ短調作品13第2楽章

この夜、聴いた演奏で、
彼はショパン・コンクールを狙っていると直感しました。
後半のショパンの選曲は言うまでもありませんが、
前半のモールァルトやシューベルト、バルトークの曲目から
ショパンを弾くためのエッセンスのようなものを意識しながら
コンクールへの準備をはじめているように思えたからです。

それと、
楽譜に音がない休止の部分に
音の余韻や色がにじみ出た演奏になっていたことです。
セザンヌの水杉画の余白に手がスゥーと入っていきそうな感じ。
また、
楽譜にないような響きが聴こえてきました。
弾いていない鍵盤の弦が共鳴しているような音響感でした。
弦楽器で感じるものと似ていましたね。
ミケランジェリが出していたという高次元倍音って
こんな感じなのだろうか?と思いながら聴いていました。
昨年も彼の進化を感じました。
音が玉のように美しいのは相変わらずです。
全体的にたいへんに見通しがよい演奏でした。
ワタクシ的には、バルトークの「野外にて」が圧巻だった。

そして今年、5年間の研鑽の結果として
ショパン・コンクールで優勝できた
というのはすばらしいことです。

来年、水戸で
コンクール前から予定されていた
チョ・ソンジン氏の佐川文庫での2回目のピアノ・リサイタルを聴きます。
結果的には彼の凱旋リサイタルになりました。
演目は次の通り。

■チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル
■2016年2月4日(木)@水戸市・佐川文庫
♪ モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
♪ シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D.958
♪ ショパン:24の前奏曲 Op.28

おそらく前半はモーツァルトとシューベルト、
後半はショパンになるでしょう。
昨年の東京のリサイタルの様式感が似てますね。
早めに予約しておいてよかった(^_^)v

彼のショパン・コンクール優勝で
彼が出演する音楽会の争奪戦は
激化を極めることでしょう。

しかし私はチョ・ソンジンのピアノをはじめてきいた
5年前から彼の才能を確信し期待していました。
その期待通りになったにすぎません、ハイ。

チョ・ソンジン氏は
音楽家としてこれからがたいへんだと思います。
多くの音楽会をこなすよりも
自己研鑽に時間をつかってほしいです。
できればショパンよりも
ベートーヴェンやシューベルト、シューマンを
ドーンと弾いてほしいと思っています。
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