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2015年10月09日20:30

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火薬で描かれた絵―「蔡國強・帰去来」展

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1ヶ月ほど前、東京出張時になんとか時間を捻出して
横浜美術館で開催されている「蔡國強・帰去来」展をみてきました。

タイトルの「帰去来(ききょらい)」というのは、
中国の詩人、陶淵明の「帰去来辞」の引用ということです。
官職を辞して、故郷に帰り田園に生きる決意を表したこの詩は
現実を見つめ、己の正しい道に戻り、
自然に身をゆだねる自由な精神を謳っていると
解説にはありました。

蔡國強氏は、泉州から日本を経てニューヨークへ渡り、
世界的に活動をしている現代美術家。
アーティストとして自由な創作を開始した
日本という原点に戻るという意味が、
タイトルに示されていると同時に、
人間としての原点への問いも含まれています。

上の画像はエントランスホールに展示されている
「夜桜」という横24m✕縦8mの大きな作品です。(撮影可)
この絵画は、火薬を巧妙に爆発させて
紙やキャンバスに像を定着させる手法で描かれいます。

「桜」を題材にしているあたり、日本への敬意も感じられるし、
それを中国が発明した火薬と和紙によって表現するあたりは
うまいな!と思いましたが、
個人的にはあまり好きな作品ではありませんでした。
分かりやすい反面、胡散臭さを感じてしまいました。

彼の作品からは、現代美術の特徴である
パフォーマンス性、偶然性、
多様なコンセプトやメッセージ性、祝祭性が感じられますが、
分かりやすさとハッタリのような強度ばかりが先行して、
何か心をえぐられるような発見を
私は残念ながら見いだせませんでした。

蔡氏の作品から、なんらかのメッセージは読み取れても、
作品の中から自分の求めているものを探しだせなかった
と言ったほうがよいでしょうか。
私の中の無意識をもっと刺激して欲しかったですね。

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