わが齢(よはい)おとろへゆけばしろたへの袖のなれにし君をしぞ思ふ
よみ人しらず
題しらず
新古今和歌集 巻第十五 恋歌五 1427
「私も次第に老いこんでゆくので、長年交わした袖がよれよれになるまで馴れ親しんだお前が恋しくてならない。」『新日本古典文学大系 11』p.415
原歌は万葉集十二の同じ歌。
しろたへの 袖の枕詞。
なれ 「褻(なれ)る」と「馴れる」と両意を兼ねる。
別れた女にやった歌。
第三・四句は単に「なれにし」の序という以上に実意をこめて理解されていよう。
「袖(衣手)に寄する恋」。
以下、巻末まで九首、よみ人しらずが続きます。
ログインしてコメントを確認・投稿する