夏野ゆくをしかの角のつかのまも忘れずおもへ妹(いも)が心を
人麿
題しらず
新古今和歌集 巻第十五 恋歌五 1374
「夏野を行く牡鹿の短い角ではないが、片時も忘れず思いつづけている。いとしい人の真心を。」『新日本古典文学大系 11』p.401
人麿集。原歌は万葉集四 柿本人麿、下句「妹が心を忘れて思へや」。
をしかの角 鹿の角は夏生え替る。その短い袋角(ふくろづの)のこと。第一・二句は序。「鹿角解(おち)、蝉始鳴」(礼記[らいき 中国、儒教の経書で五経の一つ]月令(がつりよう)「仲夏之月」条。
つかのま 「一つか」の間。片時。「一つか」は一握り、即ち指四本の幅をいう。
妹(いも) 妻やいとしい女。
「鹿に寄する恋」。
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ 生没年未詳)飛鳥時代の歌人。小倉百人一首 3 「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」
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