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2015年06月18日05:13

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しろたへの袖のわかれに露おちて身にしむ色(いろ)の秋風ぞ吹く 藤原定家朝臣

しろたへの袖のわかれに露おちて身にしむ色(いろ)の秋風ぞ吹く
 藤原定家朝臣
 水無瀬恋十五首歌合に
 新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1336 巻頭歌

「真白な袖の上にきぬぎぬの別れの紅の涙の露は落ち、あたかもそれを誘うのかと見える身にしみる色の秋風が吹いて、ひとしお堪えがたい。」『新日本古典文学大系 11』p.391

建仁二年(1202)九月十三日、後鳥羽院主催の水無瀬恋十五首歌合 寄風恋。同年、若宮撰歌合。

本歌「吹き来れば身にもしみける秋風を色なき物と思ひけるかな」(古今和歌六帖一 読人しらず)。

しろたへの袖のわかれ 万葉集から出た歌語(綺語抄中[平安後期の歌学書。三巻。藤原仲実著。1107〜16年の間に成立か])。
万葉集巻十二に「白妙の袖の別れは惜しけれど思ひ乱れてゆるしつるかも」「白妙の袖の別れを難みして荒津の浜にやどりするかも」など、上代すでに定型句となっていたことが窺われる。
「しろたへの」は袖の枕詞であるが、ここでは白のイメージが重要。
露 深い悲しみの涙の色とされる紅涙で、白の対照。
身にしむ色 「身にしむ」のは秋のあわれさと共に紅涙を吹くからで、風の「色」もおのずから紅であることを示唆する。
秋風 露をたずねてこぼすもの。
元久二年(1205)三月二日、後鳥羽院の思召で巻頭に置かれた。
参考「秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ」(和泉式部 詞花集 秋)。
「露に寄せて頼むる恋」。

藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)1162-1241)藤原俊成の子。千載集初出。新古今集、新勅撰集撰者。勅撰入集四百六十七首(最多入集歌人)。隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では元良親王と番えられている。小倉百人一首 97 「こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ」
http://bit.ly/15XdJdK http://bit.ly/1ayoLbZ
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