たづね見るつらき心の奥の海よしほひの潟(かた)のいふかひもなし
定家朝臣
千五百番歌合に
新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1332
「それでももしやと思って探ってみるあの人のつれない心の奥よ。それは陸奥の海の潮干の潟には貝もないように、愛情はすっかり引いて言うにも足りないものだった。」『新日本古典文学大系 11』p.389
建仁二年(1202)頃、千五百番歌合 恋二。
本歌「伊勢島や潮干の潟にあさりてもいふかひなきはわが身なりけり」(源氏物語 須磨)。
奥の海 陸奥国の海。「心の奥」に掛ける。
かひもなし 「貝」と「甲斐」と掛詞。海・しほひの潟・貝は縁語。
「絶えたる後の恋」。
藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)1162-1241)藤原俊成の子。千載集初出。新古今集、新勅撰集撰者。勅撰入集四百六十七首(最多入集歌人)。隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では元良親王と番えられている。小倉百人一首 97 「こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ」
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