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2015年03月16日09:48

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馬上杯をつくる

東京・成城の短歌の会に、
私は不定期に遊びに行っています。
(私の事務所はこの会の賛助会員になっています。)

年に一度、
備前で工房を持っている作家の先生を招いて
備前焼の器をつくるという特別の例会があります。
昨年、参加してきましたが、
その時に私がつくった器が「馬上杯」。

だいぶ前、友人のU氏邸に行った時、
めずらしいかたちの器で
お抹茶を出していただきました。
それが下の画像です。

フォト


骨董に詳しいT氏の話では、「馬上杯」といって
昔の人が、馬の上で酒を飲みやすいように
高台が特徴的になっていると教えていただきました。
「高台の下に穴が開いているのはどうしてですか?」と問うと、
「おそらくこの穴に紐を通して、馬の背に携帯した名残じゃないかな。」という答え。

どこかへ行く時、
何かを携帯したい〜と思うのは、
今と変わりないようですね。
現代のペットボトルの感覚に近い
と想像してみました。

私は、このデザインが気に入り、
この備前焼きをつくる会で
実際に馬上杯を作ってみたいと思っていました。

半日あまりの時間のなかで
手びねりでつくるのはたいへんでしたが、
備前の土と格闘して、成形しました。
粘土で遊んだ図工の時間よりもずっと集中しました。

馬上杯は、
手にフィットして持ちやすく、軽くないと意味がないので、
できるだけ自分の手に馴染み、かつ薄くつくることに苦心しました。
それと、焼いたら器が縮むことも計算しなければなりません。

なんとか成形した器を備前にふたたび送り、
登り窯で焼いていただいた私の馬上杯が下の画像です。

フォト


フォト


表面にせっき質タイルのようなスクラッチ状にして
テクスチュアを出してみました。
手に持った時、
ガラケーやスマホを持った感覚をイメージしました。

私が満足したのは、
苦心の末に、1個あたり280グラム程度で軽く、
自分の手に馴染んで持ちやすいことです。
自宅で、音楽を聴いたり、サッカーをテレビ観戦する時、
この器にお酒を注いで、悦に浸っています。
ほとんど自己満足の世界です。

しかし、
地獄の苦しみはこの後に待っていました。
この備前焼きをつくる会に参加したことを
歌に詠む〜という宿題が
短歌の先生から出されたからです。
なんとか、私がひねり出したのが下の歌です。
土をこねるよりも、歌を詠むほうがずっと難しいです。

野を駆ける
馬の背で飲む
いにしえの
酒おもいつつ
こねるさかづき
8 10

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