消せるボールペンというのが一般化しているようだ。これまでのボールペンは消せなかったが(砂ケシでけずるという荒業が昔あったけど)、消せるボールペンは65度以上の熱で消えるインクだとかで、ボールペンの頭に付いているゴムのようなもので摩擦で消せる。消しゴムで消す感覚となんら変わらない。これが便利だという意味がさっぱり分からないのだが最近よく見かけるしヒットしてるようだ。
ところで、65度の熱で消えるということは、陽の当たる熱い場所に置いておくとすべて消える可能性があるということだ。コピー機の熱で消えることもあるという。また、書いた後にドライヤーで乾かすとすべて消えてしまうし、このボールペンで描いた絵を夏の暑い日に車の中に置いておくとすべて消えてしまうことになる。これは恐怖以外のなにものでもない。
当たり前のことだけど、インクには「消えない」という安心感があった。数百年前の手紙や楽譜などが現在も残ってて読めるのは、消えないインクのおかげだ。それらはこれからも残っていくだろう。が、この消せるボールペンで書いた文章などはあっという間に消えていくだろう。20年も持たないのではないか。このボールペンで日記を書いた子供がいたとして、その人が大人になってる頃にはそれがすべて白紙になってたりするのではないか(それはそれで都合がいい場合もあるだろうが)。
絵を描く者にとってそんなインクは恐怖でしかなく、なるべくならこの世からさっさと消えてほしい。スズキコージなどは画材を選ばす何でも使って描くけど、知らずにうっかりとこの消せるボールペンを使ってしまった場合、その作品の一部は途中で消えたりするだろう。こんな危険なものが何で普通に売ってるのか分からないが、危険ドラッグと同じように危険ボールペンと名前を変えるべきだ(大袈裟だなしかし)。
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