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2015年01月27日22:24
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いまや公式に認められたことだが、2014年は観測史上最も暑い年だった。これを政治的に重要な出来事だと捉える向きもあるだろう。なにしろ気候変動を否定する人たちは、主にエルニーニョ現象のせいで太平洋の海面水温が上がり、異常な暑さに見舞われた1998年の一時的な動きを紹介して、その後ずっと、地球温暖化は止まったと主張してきたからだ。その主張は基調の読み方を完全に誤っている(ヒントは、自分に都合のよい観測結果だけをつまみ食いしてはいけない、ということだ)。だが、そんなインチキな議論も崩壊した。だから、否定論者たちはもう、気候変動は本当だと認めるのだろうか? もちろん、認めないだろう。気候対策をめぐる「議論」で、証拠は重視されない。「議論」とカギ括弧をつけたのは、論理と証拠の関係が明らかに見当違いで、普通の感覚ではどう考えても議論ではないからだ。こうした状況はめずらしくない。実際のところ、事実が本当に重みをもつような大きな政策論争はいま、あまり思い浮かばない。重視されているのは、揺るぎない独断ばかりだからだ。そして本当に問うべきは、「なぜそうなのか」ということである。 * そこに入る前に、重要と思われていない他のいくつかのニュースにふれさせてほしい。 まず、カンザス州の実験だ。2012年、右派のサム・ブラウンバック知事はサプライサイド(供給重視)経済学を全面的に支持し、大規模な減税を実施した。減税すれば、結果として景気がよくなり、当初の税収減は埋め合わせ可能だと確約した。州の人々にとっては残念なことに、実験は完全に失敗している。カンザス州経済は活況とはほど遠く、近隣の州に後れをとり、いまや財政危機にある。 減税は景気刺激策のひとつとして魔法のような効果をもたらす、という保守派の主張が弱まるのを、目にすることになるのだろうか? もちろん、そんなことはない。もし証拠が重視されるのなら、サプライサイド経済学は何十年も前に消え失せていただろう。そうはならず、サプライサイド経済学は共和党で支配力を強めている。 一方、医療保険制度改革の関連ニュースが相次いでいるが、支持者でさえ期待していなかったほど好ましい状況で推移している。すでに報じられている通り、保険に未加入の米国人の数は急減しているが、医療費の伸びは鈍い。いまや医療費のせいで家計難に陥った米国人が急減したという証拠も示されている。 これらはすべて、改革が医療保険の加入率を下げるとか、医療費の急増を招くとかいった悲観的な予測とは、まったく食い違っている。ではオバマケア(医療保険制度改革)が大失敗する運命にあると主張している人々の誰かが見解を改めるのを、目にすることはあるだろうか? 答えはおわかりだろう。 似た例は他にもある。金融政策から感染症対策まで幅広い問題に関して、実際の経験と完全に食い違い、実際の経験がどうあろうともまったく揺るがない考えが、米国の政治体には存在する。そうした見解をもつのは、どんな問題であれ、同じ集団なのだ。彼らは困難にくじけない人間ではない。顔を紅潮させて怒る。自分たちの立場を支持しない事実を訳知り顔で指摘する人々に対して、特別な怒りをぶつけたりもする。 * 最初に私が言ったように、問うべきは、なぜそうなのか、ということだ。なぜ独断的なのか。なぜ怒りをぶつけるのか。さらには、なぜこれらの問題が一緒に議論されるのか? 気候変動はでっちあげだと主張する集団と、国民皆保険を実現させるあらゆる試みは大惨事と暴政をもたらすだろうと主張する集団は、ほぼ重なっている。 そう、私の印象では、こうした事例で示される揺るぎない立場は、政府のあらゆる役割を否定する考え方と深くかかわっている。政府が汚染を引き起こす者や組織を規制し、罰金を科すのを望まない人は、排出を制限する理由があることも否定したいだろう。 保険への加入を広げるために未加入者に規制や義務、補助金を組み合わせることに反対する人は、加入率の上昇が可能だということさえ否定したいだろう。減税に魔法の力があるという主張が、税収を断って政府の力を弱めるという本当の目的を覆い隠しているにすぎないことも、多々ある。 公益を図ろうとする政府を、なぜこれほど憎むのだろうか。政治学者のコリー・ロビン氏は、自称保守派のほとんどは実際には反動主義者だと述べている。要するに彼らは旧来のヒエラルキーを守ろうとする人たちで、政府の力が拡大することに脅威を感じ、それが普通の市民の生活をよりよくし安全を高めると思われる時でさえ(というか、そういう時にとりわけ)、脅威に感じるのである。私はこの説を買っている。ひとつは、なぜ気候科学と医療経済学がそこまで怒りを呼び起こすのか、ということの説明になるからだ。 事実が重視されない政治的な時代に生きていることは、間違いない。証拠を重く考える私たちが、証拠を探すのをやめるべきだと言っているわけではない。しかし予測するときには現実的であるべきだ。最も決定的な証拠を得たときでさえ、効果をもたらすと見込むべきではない。(NYタイムズ、1月19日付、抄訳) ◇ Paul Krugman 53年生まれ。米プリンストン大教授。08年にノーベル経済学賞受賞
安倍晋三首相は27日午後の衆院本会議で、2017年4月に消費税を再増税すると表明したことについて「社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たし、国の信認を確保するため10%への引き上げは確実に実施する。そうした経済状況をつくり出す決意で『三本の矢』の政策をさらに前へ進めていく」と強調した。民主党の前原誠司元外相への答弁。 首相は、再増税の先送りを決めた昨年末の判断に関し「消費税率8%への引き上げにより、個人消費などに弱さが見られたことから延期を決断した」と説明。その上で、安倍政権の経済政策により「好循環が着実に生まれ始めている」と述べ、「アベノミクスの失敗」を認めるよう迫った前原氏に反論した。
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