貧乏学生だった頃、昼飯抜いて金を貯めてはレコードを買いまくっていた。
御茶ノ水のCISCOという中古レコード屋でいつものとおりパタパタとレコードをめくりまくっていると、「ありゃりゃ!」Steely Danのライブ音源が・・・・
当時、そんな代物はブートレグでもありえないわけで、これは何をおいても手に入れねば!と、レジに足を運んだのだが・・・
その時、そのタイミングで流れてきたのがNight Flyte。予想外のゴキゲンなサウンドに「これ、何すか?」と店員に尋ね、天秤にかけることに・・・・
もちろん両方買うほどの財力はなく、Naight Flyte も輸入盤で一点モノとのことで、2枚組で値の張るDanは諦めることにした。
帰宅して試聴もそこそこに金策しまくり、翌日予備校の授業の合間にレコード屋に走った。
結構高額だし、ブートレグなので当然残っているはずと思ったのだが、運命とはこんなものだ。
あるはずの場所にないので店員に聞いてみると、「ああ、あの後すぐ売れちゃいました」とそっけない返事。
逃した魚は大きいというが、以来、ずっと出会うことはなかった。
結局、日本では未発売のNight Flyte は後に評判を呼び、国内版が発売され、容易に手に入るようになった分、逃した魚のサイズは年を追うごとに大きくなっていった。
実際、もう諦めていて、中途半端なDVDを買ってみたりしてお茶を濁していたのだが・・・
昨日、フラッと入った御茶ノ水のdisk unionでコトは起こったのだ。
ちょっとしたパニックはメンバーのクレジットを見て10倍に増幅した。
何と!ドラマーは20歳そこそこのJeff Porcaro 。腰が抜けそうになった。
購入後、すぐにでも帰宅して聞きたい欲求にかられたが、会議があったので、結局音を出したのは今日の朝イチ。
思いのほか録音状態も良く、とんでもない演奏に脱力。40年の時を越えてこうして聴くことができるなんて夢にも思わなんだ。
この後、フィゲンとベッカーはライブの限界を感じ、コンサートを封印してしまうわけだが、その後、マイク・マクドナルドとジェフ・バクスターはドゥービーブラザースへ。ジェフ・ポーカロはセッションマンとしてキャリアを積み、TOTOとしてシーンの頂点に君臨するのだが、僕は当時のSteely Danの演奏を死ぬほど聴きたかったのだ。
今日ほど長生きはするものだと思ったことはなかったね。
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