今回の読唇術の指導は、私自身が乗り越えてきた特訓を施した。
その前に。
聴覚障害のレベルをみなさんにもご理解頂くためにも、以下に聞こえの段階を紹介しよう。
耳が聞こえない人、耳が遠い人には、その人々の聞こえに.様々な違いや程度の差があり、それを
ｄＢ（デシベル）.という単位で.表している。
このｄＢは、聴力レベル（聴力損失）の程度を表し、オージオメーターという聴力測定器で.計ることができる。
� ，気気笋�声まで.よく聞こえる＝正常耳 （聴力レベル.10〜30ｄＢ）
�◆‐�声では.聞こえにくい＝軽度難聴 （聴力レベル.30〜50ｄＢ）
�� 普通の会話が.聞こえにくい＝中等度難聴 （聴力レベル.50〜70ｄＢ）
�ぁ‖臉爾硫駭辰任�.聞こえにくい＝高度難聴 （聴力レベル.70〜100ｄＢ）
�ァー�元の叫び声やジェット機の音くらいには感じるが、日常の音は聞こえない
＝高高度難聴 （聴力レベル.100ｄＢ以上）
※.聴力レベルの参考.・・・畠口健が考案した.“ヒヤリングレベル”.（５段階）
日本では、一般的に、50ｄＢまでは.軽度難聴、70ｄＢまでは.中等度難聴、それ以上は.高度難聴.に分類される。
私は両耳とも�い砲△燭蝓�右が96db、左が94dbである。
指導している子も右が97db、左が93dbだ。
分かりやすく言ってしまえば、市販されているコンポの音量をマックスにしてヘッドホンで聞いて初めて音楽が人並みに楽しめるレベルなのである(もちろん補聴器なしの裸耳の状態)。
それで今回は補聴器専門店のご厚意で防音室を借りて、大音量に慣れる特訓をした。ここで正常耳の方が「うるさくて我慢できない」レベルの音が75db、「聴覚に異常をきたす」レベルの音が100db以上であることを指摘しておこう。
私が幼いころ音感を磨くために聞いた音楽のレベルは120dbで、ライヴ会場でスピーカーの真ん前にいると重低音の直撃で腹に重いのを一発もらった感じを受けるが、あれ以上の体感である。耳が悪くても皮膚感覚は正常なのだから、長くて１０分まで。それ以上は脳や内臓にダメージを負う。
使用した曲は私と全く同じものと希望されたので、ビートルズの「イエローサブマリン」。
もし追体験したいなら、コンポでマックス音量で流してみるといい。
私の友達(正常耳)がかつてチャレンジしたが、鼻血を出して悶絶していたのであまりおススメできない。
しかし。
私はこれを繰り返したおかげで、カラオケで歌うことが出来る。
指導している子はまさにカラオケを楽しみたいわけで、AKBなどを熱唱したいという夢に向かって、今回の過酷な特訓にチャレンジした。
で、結果。
音楽はちゃんと聞こえるが、英語が分からないので歌詞を綴れない。
上等。ここまでくれば、聴覚障害者でも立派に音楽が愉しめる段階まですぐだ。
問題点はひとつ。近所迷惑ならぬ家庭内迷惑である。
私は祖母と暮らしていた頃、ドデカいラジカセで音量マックスで聞いていて、クラシックや英語の歌詞はともかく、日本語の官能的な、下品な歌詞に聞き入っていると、祖母がやめてくれとドアを叩いてきた。
それで手製の防音システムを作り(壁にコルク板を貼りつけたりした)、三上寛などを思う存分愉しんだ。
親御さん(二人とも正常耳である)が試しにと防音室のなかで娘と一緒に120dbのイエローサブマリンを聞いたが、一瞬で退散してきた。
「気が狂う」レベルだそうである。
だから防音室を作るか、手製でシステムを作り上げるかした方がいいと進言した。
最初は耳鳴り、幻聴、頭痛、あれやこれやに悩まされることだろう。私も苦しんだ。それを乗り越えて、音感を掴み取れば、読唇術もさらに一歩進むことが出来るはずである。
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