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2013年04月27日22:47

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おヒルの新作「Das Grenzland」。

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かつてドイツが西ドイツと東ドイツに分断されていた頃。
奇妙な噂が実際に流れていた。
東西を問わず暮らせる土地があると。その名はボーダーランド(ドイツ語読みでGrenzland)。
リューベック(北ドイツの都市で当時は西ドイツ側だった)ではないかと予想されていたが、東ドイツに生まれたおヒルは周囲の情報をもとに大胆な仮説をたてる。
それはナチス政権時代から続く巨大な精神病棟で、東ドイツと西ドイツが共同経営する施設だったのではないかと。
なるほど、精神病棟のなかなら、確かに東も西もなく暮らすことが出来る。
リューベックをモデルにした海辺の都市を舞台に、都市全体が精神病棟という異様なボーダーランドに迷い込む男を主人公に描き出される物語。
ヒトラーの愛人だったエヴァが身代わりを使って生き延びたハナシ、T4作戦(アル中や精神障害者などの遺伝的欠陥を殺害する作戦。後にホロコーストへと発展)を考案した酔っ払いの余計なひと言、ベルリンの壁のなかに穴を開けてそこで暮らした老人の末路、などなど数編のエピソードが展開され、事実と噂が入り混じった奇妙な世界観が読者を幻惑させる、という筋立てとのこと。

昼間と夜の境目を見たことがあるかね?こっち側に太陽が当たっていて、そっち側は真っ暗なんだ。ここはそういう都市なんだよ、お若いの。

まずドイツ語で書かれ、それからおヒル自身の手で邦訳されるので多少は時間がかかるだろう。

構想を聞いた時まず感じたのが、未完に終わったラース・フォン・トリアー監督の「キングダム」シリーズに似てるなと。ああいう奇想の世界が展開されるならば、とても楽しみである。
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