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2011年11月11日23:37

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天使の詩

ワタシが中学生の頃ですから、もう45、6年前に
こんなタイトルのイタリア映画がありました
原題とほど遠い邦題をつけるのは配給会社の悪しき伝統です
(最近では原題をそのままカタカナ表記するのが流行っていて、
それはそれでなんのことだかわからない)

原題はイタリア語でIncompreso、「誤解」という意味です

妻を亡くした駐伊イギリス領事に幼い男の子の兄弟が残される
兄の方は気丈に母を失った悲しみをこらえるが
父の目にはそれが「しっかりしている」と写る
これがすなわち「誤解」であります

父親の関心はもっぱら幼い弟の方に向けられる
カインとアベルの物語(エデンの東)の変形ですね

この映画には印象的なシーンがいくつかあって
生前の母の声が残されたテープを兄の方が誤って消去してしまう
なんとか元に戻せないかと電気屋に持ち込むのだが
その電気屋のショウウインドウにフィリップスのマークが
不自然なくらい長く映されました
協賛金見合いの広告でしょうね

そのテープに残されていた母の声ですが
T・S・エリオットの詩を朗読したものでした
それは「アルフレッド・プルーフロックの恋歌」だったのですが
もちろん当時中学生のワタシがそんなこと知るはずもない
ただ、字幕にあった「手術台の上でエーテルを嗅がされている
患者のように夕暮れが空に広がる」という詩句が印象的で
心に残りました
その後大学生になって「…の恋歌」を読んで(原語ですぜ)
「あ、これはあのときの映画の!」と驚いてしまいました

それから、兄(アンドレアという名前です)は父親に
認めてもらいたくて柔道(空手だったかな?)の試合を
見に来てもらうのですが、悲しいことに負けてしまいます
(ここで勝ってハッピーエンドにはなりませんよ)
そのシーンで「空」という漢字を額縁に入れて壁に飾って
あるのですが、その額縁がどういうわけか上下逆さまでした

これはどんな意味があったのでしょう
単に外国人スタッフの目には漢字の上下がわからずに
逆さまに掛けただけ?
誰も指摘しなかったのかしらね

さて前置きが長くなりましたが
この「天使の詩」という映画では、モーツァルトの
ピアノ協奏曲第23番K488の2楽章が使われていました
ワタシはこの映画を見て、モーツァルトのこの曲を知って
そして好きになりました
そういう人は当時いっぱいいたんじゃないかな

今日の都響の定期では、そのモーツァルトのK488が演奏されました
ナマで聞くのは久しぶりですが、やはりいいのぉ
ワタシの好きな曲ベスト5に入ります
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