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2010年12月29日22:20

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花がぱあーっと開いたような感じ!!

公演最終日にロビーにてお客さんを送り出していたら、ある観客の方から声をかけられた・・

「あれ?本当に歯が無かったんですね!!」


大変傑作な話だが、少々説明を要するであろう・・私とリアルなお付き合いのある方ならご存知だが、

実は何年か前に変てこな事情?で「前歯2本」抜け落ちてしまった・・のだが、医者に行くだけの経済事情ではないので現在もそのままの状態であり、笑ったりするとそれが丸見えなのざんす。

そんな具合なので、まあ、なんとも間が抜けたような表情だが、それはそれで「至福というか恍惚の表情」としてもインパクトがあるらしく、その観客の方は、私が「登場人物としての役作り」として「何か細工をした」のだろう・・と思われたのだそうな(爆)


「いやあしかし、(貴方のラストシーンは)花がぱあーっと開いたような感じでしたよ!」

などとお褒めの言葉を頂いて大変感激したざんす。


何度か日記に書いてきたように、今回私の演じた人物というのは「大変変てこで何をしている人なのか見当が付かない」不思議なキャラクターなのだが、これは作り出したキャラクターというより殆ど「シリウス・マハナンダ」そのものが舞台にいた・・かのようなものだ、実際私の知人達は「殆どそのままでしたね!」と口々に評している(笑)

我々プルミエグループのシーンは「旅しない人々」というテーマで、各人が様々な形で「一歩前進しようとして、それが出来ずに一歩後退してしまう」キャラクターを演じていて、私もその一人ではあるのだが他のメンバーのキャラと違うのは、

「自己都合で旅をしない・できない」のではなく、何故か行動を他者に阻止されてしまい、ある意味「運命的に」前に進めない「哀しさ」・・が漂う人物なのだが、

ただ彼自身は「それを恨んだり悲しんだり怒ったりするわけでもない」・・・というのが特徴と言えるだろう。


私が「特に意味も無く」至福感を振りまきながら変てこな舞を舞っていると他の登場人物に投げ飛ばされたり、突き飛ばされたりして中断してしまう・・・のだが、そこで私は「それを恨んだり悲しんだり怒ったりするわけでもなく」、ちょっと相手をぼんやりと見つめた後ですたすたと引っ込んでしまう・・・のであった(笑)


ラストシーンで、死体の如く寝かされたままだった私はふいっと起き上がり、舞台中央に置かれたトランクに歩み寄り、中から「小さなトランク」に模したオルゴール箱を取り出し、舞台前面センターまで移動して座り込んでそれを開く(効果音「オルゴール演奏」が流れ始める)・・・

と、他の登場人物たちがトランクに吸い寄せられるように集まってきて、口々に「行ける行ける」「行こうよ」と祈りにも似た希望の言葉を静かに口ずさむ・・・やがてトランクの中が光を放ち始める(実際に照明機材を仕込んである)・・・・。


先日の日記で「以下秘密」としていたが、ここで私はそのオルゴール箱から「一輪の花(ピンクのバラ)」を取り出し、それに魅入られたように微笑んでいる・・・ところでスポットがあたり静かにフェイドアウトして、メインの3人の演ずる「旅する人たち」の場面に暗転していくのだ。


まあそんなわけでこれは俳優としては「かなり美味しい」役割でもあるのだが、そこのところを観客の方に、

「花がぱあーっと開いたような感じでしたよ!」

と評していただけたのは本当に嬉しいことなのであった・・・。


身体詩劇で俳優達に要求されるのは、「普通のお芝居での演技とはかなり異なる内容」であることも多いのだが、今回私に関しては「出来るだけシンプルに!・・何かをしようとするな!」というリクエストが中心であった。


ある意味それは、「存在そのものが舞台上で生き生きとオーラを放つ」とでもいうような、いわゆる「演技としてのリアリティ」を超えた表現・・・とでも言えるものだ。


実はまだインドに出かける前の「若かりし演劇青年」だった頃(ちょうど今のプルミエの仲間達の年齢である)、

「何もしていないのに、ただそこにいるだけで場が成立してしまうようなパフォーマンス」というものを夢見たことがあったのだが、とうとう今回それが実現したのだなあ!・・・という感慨があったざんす。


公演3日目の本番の前の、「プルミエ自由練習時間」にあれこれストレッチやら発声練習やらのカラダ起こしをしていた時、ごろりと舞台上に仰向けになって天井の照明機材をぼんやり眺めていたら、唐突に胸が熱くなってきた・・

2010年の暮れも押し詰まった今日この日、私はこの舞台に立っているのだなあ・・・という思いが、静かなる感動を呼び起こしたとでも言えばいいのだろうか?


・・若い頃に演劇を志しながらも挫折、29歳の時「ブレークスルー」を求めて初めてのインドの旅へ・・・そこですっかり人生が変わってしまい(笑)、紆余曲折の変てこな(別に「波乱万丈」というわけではないが)人生を歩いてきて、来年3月には50歳になろうという私が、

今まさに東京芸術劇場の舞台(ここで芝居をやるという事自体、「かなりのステータス」なのざんすよ)に「パフォーマーとして」ここにいる!!

「これはなんと素晴らしいことなのだろう、なんと私は幸せな男なのだろう!!」

という悦びがハートを突き抜けたのである・・・と同時に、

「ああ、そうだ、この感覚で本番の演技をやればいいのだ、それが私に要求されたものであるし、私なればこそ可能な『存在がそのまま創造表現』というレヴェルを実現できる境地に違いない!!」

という確信が満ち溢れてきた・・まあ、それを初日の段階で出せないのがまだまだ未熟なところざんすね。


というようなわけで話が戻るが、「いやあ、花がぱあーっと開いたような感じでしたよ!」と評価して頂いたことが大変嬉しかったのざんすよん!!


さてさて次回はどうやら2012年4月にシアタートラムでの公演になるらしい・・・再来年ってことは51歳ではないか!!その時分は私は何をどうしているのかしらん?

・・・私の場合あんまり夢とか願望にエネルギーを注ぐ必要などないのだ、そこら辺は全て神様(私にとってはもちろんラマナ=アルナーチャラである)にお任せざんすからね。


「神様に生かされ在る」ことを確信できるからには、ライフ・ステージの場にあっても、

「出来るだけシンプルに!・・何かをしようとするな!」であれば良いのである。

さあ、「大日本お気楽脳天気教?」の信者の皆様、

「花がぱあーっと開いたような感じ」で生きていこうではないか!!(笑)
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