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2010年03月12日09:26

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『不毛地帯』、終る。

 週木曜日22時の放映を楽しみにして来た『不毛地帯』が昨夜、最終回を迎えた。山崎豊子原作の同名小説の存在は知っていたが、なんとなく手を伸ばす気になれず、未読のまま歳月が過ぎて行った。映像の初見のインパクトを最も大切にする私にとって、原作を読まずにドラマを観ることができたのは結果的に大きな幸運だったと言って良い。先の見通せない波乱の物語に惹き込まれ、何の先入観もなく、はまることができたからだ。

 それにしても、実に観応えのある面白いドラマだった。シベリア抑留で死ぬほどの辛酸を舐め帰国した主人公・壹岐正(唐沢寿明)の才能を見抜き、「 ・・・戦争の責任を感じているなら、軍事戦略で鍛えた頭脳をこれからは経済戦争で使い、国の発展に役立てるという責任の取り方もあるのではないか 」と三顧の礼で迎え入れた近畿商事社長の大門一三(原田芳雄)はじめ、登場人物のキャラが見事に立っており、生き生きとした存在感を出していたことが、このドラマの最大の魅力だった。大門の厚い信任を受け、社内外のライバル達の嫉妬羨望と戦いながら、自分の信じる道を寡黙に進み続ける壹岐正はなんとも清清しい。近畿商事副社長の里井(岸辺一徳)や東京商事の鮫島(遠藤一憲)など、権力や名声に執着する男達のいやらしさを山崎豊子の原作が詳細に描いているのだろうが、彼らの内面の動きを演出は見事に映像化してみせた。また、現代にほとんど残っていない「 昭和30年代、40年代の日本 」の雰囲気をうまく再現していたことも評価に値する。スタジオのセット以外では、人物のバストショットとアップを多用することで、背景のごく一部しか画面に映さないのも決して不自然ではなかった。残念ながら視聴率は低迷していたそうだが、『 不毛地帯 』は私にとっては終生忘れることのできない「 屈指の傑作ドラマ 」となった。

 惜しくも本放映を見逃された方々には、ぜひ再放送をご覧になることを強く願ってやまない。

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