年寄りは暗譜。そう言ったら、合唱団からいなくなるか。
難しい組曲なら、楽譜を見て歌うのも仕方がない。だが、簡単で覚えやすい曲まで、いつも楽譜を見て歌う必要があるのだろうか。せっかく歌うのだから、暗譜して顔を上げ、指揮者を見ながら気持ちよく歌うほうがいい。頭の体操にもなるだろう。
それに、座って歌うな、とも言いたい。本番も座って歌うのなら、それでいい。そういうコンサートがあってもいいと思う。だが、本番では立って歌うのに、練習では座ったままというのはどうなのか。立って歌うことに慣れるのも、練習のうちではないのか。
もっとも、こんなことを言えば、また師匠から「あなたはストイックだから」と言われるだろう。歌うことを楽しめればいいという人もいる。自分のように、せっかく歌うなら少しでも上手くなりたいと思う人もいる。合唱に何を求めるかは、人それぞれである。
母校の創立80周年記念演奏会の前日リハーサルでは驚いた。高校合唱部のOBが60人ほど集まっていた。自分は中央列の最後列で、譜面台を使いながら立っていた。指揮者がちらりとこちらを見て、「立ちますか?」と尋ねた。皆が立った。ところが、その後に「座ってもいいですよ」と言った途端、多くの人が座ってしまった。
おいおい、まがりなりにも高校合唱部のOBだぜ。座って歌うんか、と思ったが、口には出さなかった。
もちろん、年齢も体力も人それぞれだ。立ち続けるのが難しい人にまで、無理をしろとは言わない。ただ、立って歌える人まで、座ってよいと言われた途端に座るのを見ると、なんかなぁ、である。
こんなことを言っていたら、団員が次々といなくなり、合唱団そのものが消滅するかもしれない。
年寄りは暗譜。練習は立って歌え。やっぱり、言わないほうがいいのかな。
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