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2026年10月14日10:33

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ピアノの位置(8419)

同じことは、モーツァルトのレクイエムの練習でも感じる。

練習会場は広い。バスの前にピアノがあり、ソプラノは遠い。折りたたみ椅子をゆったりと並べると、400席は置けるだろうという広さである。

この配置でパート練習をすると、ピアノから遠いソプラノなどは、まるでやまびこのように音がずれて聞こえる。ピアノの音が聞こえにくいだけでなく、指揮者の動きと耳から入ってくる音との間にもズレが生じるのだろう。楽譜を見ながら歌っていれば、なおさら指揮を見るタイミングが遅れる。

以前、指揮者にピアノの位置を変えるか、合唱団の向きを反対にするのはどうかと提案したことがある。もちろん、ピアノを移動すればすべて解決するわけではない。しかし、練習環境に問題があるのなら、配置を工夫することも考えてよいはずだ。

いつもバスはほめられ、お手本のように言われる。それは嬉しい。だが、心の中では、もしピアノがあちら側にあったら、バスだって同じようにずれて、遅れて歌うのではないかと思っている。自分たちの歌唱力だけで正確に歌えているのではなく、目の前のピアノに助けられている面もあるのではないか。

もっとも、環境のせいばかりにはできない。楽譜を追うことに精いっぱいで、指揮者を見る余裕がなければ、テンポの変化にも対応できない。周囲の声を聴き、自分のパートを正確に歌いながら、指揮者の動きに反応する。それが合唱の基本なのだろう。

「森の歌」にしても、モツレクにしても、結局は楽譜を暗譜できるくらいまで頭に入れておく必要があるのだと思う。もちろん、暗譜すればすべて解決するわけではない。だが、楽譜を読むことに追われなくなれば、指揮者を見る余裕も、周囲の音を聴く余裕も生まれる。

練習環境を改善することも必要だし、歌い手自身が十分に習熟することも必要である。どちらか一方で済む話ではない。

ただ、こうして考えると、バスがほめられているからといって、単純に喜んでばかりもいられない。自分たちにとって歌いやすい条件が整っていることも、少しは割り引いて考えるべきなのだろう。

合唱は、自分のパートを間違えずに歌えばそれでよいというものではない。周囲の声を聴き、指揮者を見て、全体の音楽の中で自分の声を合わせていく。言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい。

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