オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のメインホールである石川県立音楽堂には、過去の大きな公演のポスターが並んでいる。その一つに《森の歌》がある。2006年11月5日、指揮は井上道義、大阪センチュリー交響楽団との合同オーケストラ。ショスタコーヴィチ生誕100周年記念公演であった。
このブログを書き始めたのは翌2007年なので、当時の記録は手元にない。ただ、残っている楽譜を見ると、ロシア語の歌詞にカタカナで発音を書き込んである。当日の細かなことは忘れても、目の前にいた大阪センチュリーの女性奏者がとても美しく、「天は二物を与えるんだな」と妙に感心したことだけは覚えている。
ロシア語の発音にはあまり苦労しなかった。大学に入った時、混声合唱団のオリエンテーションを見に行ったものの、どうもピンと来なかった。その代わりに入ったのが、イヨールカというロシア民謡を歌うサークルである。10人余りの小アンサンブルで、ロシア民謡だけを歌うという、今思えばなかなか変わったサークルだった。しかも多くは原語で歌っていた。2年目に新しく男声合唱団を作ってそちらへ移った。
その頃、週2回通っていた富山放送合唱団でも《森の歌》を演奏した。団員を公募し、児童合唱団、アマチュアオーケストラ、プロのソリストを加えた大掛かりな演奏だった。この時は日本語で歌った。
その時にコンサートの事務局長をしていたIさんは、いまモツレクの練習で自分の隣にいる。2年前、偶然《カルミナ・ブラーナ》を歌いに行った時に話をして、そのことを思い出した。50年ぶりの再会である。
今年10月、再び《森の歌》が演奏される。
ウクライナに戦争を仕掛けた現在のロシアを思うと、「今これを歌うのか」と複雑な気持ちにもなる。もっとも、《森の歌》自体が歴史や政治と無縁の作品ではない。それでも、いやそれだからこそかもしれないが、音楽そのものの魅力はやはり否定できないのである。
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