定年前に10年間勤めていた農業高校から、創立150周年のセレモニーへの招待状が届いた。石川県で2番目に古い高校だという。150年というのだから、学校としては相当な歴史である。
案内は、昔ながらの返信ハガキではない。QRコードを読み取って、スマホから出欠などを入力する。150年の歴史を持つ学校から届いた案内が、ずいぶん今風になっているのがおもしろい。
もっとも、自分は行かない。自分が卒業した学校の同窓会でさえ、義理がらみで1、2度出席しただけで、それ以外はパスしている。ましてや勤務した学校の「創立○周年」という行事に呼ばれたからといって、出かける気にはならない。
そういえば、自分がその高校に在籍していたころは、130周年だったか。当時、農業科の先生たちは、周年行事に向けて何かと忙しくしていた。自分は一般科目の社会科の教員だったので、その慌ただしさを少し離れたところから眺めていた。
あれから20年か、考えてみれば、自分がそこで過ごした10年間も、150年という長い学校の歴史の中では、ほんの一部分にすぎない。
教員になってから、自分はいくつかの学校を転々とした。1年、8年、7年、10年、10年。それぞれの学校に勤務した年数である。こうして並べてみると、結構一つの学校に長くいたものだ。
若いころには、同じ場所に長くいるより、いろいろな学校を経験したほうがよいかなと思ったこともある。しかし、定年まで来てしまえば、そんなことも含めて「まあ、こんなものかな」と思う。
150年続いてきた学校の歴史からすれば、自分がそこで過ごした10年など、ほんの一瞬だ。それでも、その10年間には、生徒がいて、同僚がいて、授業があって、いろいろな出来事があった。学校の150年の歴史には残らなくても、自分の中には残っている。だからといって、150周年のセレモニーに出席したいとは思わない。
招待状を眺めながら、そんなことを少し考えた。
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