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2026年08月04日06:01

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黙々とスキャン(7071)

後輩(カウンターテナー)が会長をしている鉄工所で、古い書類をデータ化するアルバイトを始めて6回になる。週2回、1回4時間のペースで進めている。当初は3回ほどで終わるだろうと思っていたが、ようやく半分が終わったところだ。

決して作業が遅いわけではない。休憩も取らず、4時間ひたすら同じ作業を繰り返している。それでも思った以上に時間がかかる。

昨日は、ある1件の工事関係書類をデータ化するだけで30分近くかかった。書類を整理して番号を付けると59枚もあった。小さなメモ用紙からA2サイズの図面まで混在し、ホッチキスで留められたものを外し、折れ曲がった紙を伸ばしながら一枚ずつスキャンする。同じサイズの書類をまとめて自動読み込みすることができず、結局すべて手作業である。スキャンしたデータをパソコン上でフォルダーに整理し、紙を元の封筒へ戻してようやく一件が終わる。この繰り返しだ。

工場が休みの日なので、事務所には自分一人しかいない。黙々と作業を続けていると、2時間ほどで集中力が切れ、さすがに疲れが出てくる。人がいれば何気ない会話で気分転換にもなるのだろうが、それもない。

30年以上前の修理や納入記録を見ていると、見覚えのある会社名もあれば、初めて目にする名前もある。自分は教員時代、公務員は兼業禁止だったが、「どうしても人手が足りない」と頼まれ、ごくたまに現場へ手元作業の補助で行ったことがある。そのため仕事内容は詳しく知らなくても、一緒に行った会社の名前は覚えている。

後輩に聞くと、それらの会社の多くは倒産したり、合併や吸収によって姿を消したという。それでも当時納入した機械は中古品として売買され、今もどこかで動いている。その機械に故障が起きると、この鉄工所へ修理依頼が入る。データが残っていれば、電話で症状を聞くだけで故障箇所をかなり正確に特定できるそうだ。

古い紙の書類は、一見すると処分してもよさそうに思える。しかし、その一枚一枚には会社の技術や経験が詰まっており、今も現場で生き続けている。自分がしているのは単なるスキャン作業ではなく、その会社の「記憶」を未来へ引き継ぐ仕事なのだと感じる。

いつも思うのは、日本の製造業は、このような社員数人とパート・アルバイトで支えられている町工場が無数にあって成り立っているということだ。一社一社は決して大きくはないが、それぞれが専門的な技術と長年蓄積した知識を持ち、互いに支え合っている。こうした目立たない会社があるからこそ、日本のものづくりは今日も動き続けている。その底力には、あらためて感心させられる。
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