を読んだ。横溝正史著。
本陣殺人事件
昭和12年、岡山県のある村に、奇妙な男が訪れる。男の右手には指が3本しか無かった。
2日後、旧本陣の末裔である一柳家の屋敷で、長男賢蔵と久保克子の結婚式が執り行われたが、その夜2人が離れで惨殺死体で見つかり、現場には3本指の指紋が遺されていた。
その夜は雪が降っていたが、犯人が離れから出た形跡は無かった・・・。
横溝正史のデビュー作だそうだが、いきなり古風な村の描写と不可能だと言われていた日本家屋での密室殺人に挑戦し、それらが見事に融合して面白い作品に仕上がっているのはさすがとしか言いようがない。
「八つ墓村」は冒険小説だと書いたが、本作はれっきとしたミステリーで、どちらかと言えばこちらこそが横溝作品の本道なのだと思う。
印象深い要素はたくさんあったが、中でも少し知恵遅れだが琴が滅法上手な鈴ちゃんが可愛く儚く余韻を残した。
本題たるミステリー部分においては、なにしろミステリーなのでここで詳しいことを書くわけにはいかないが、きちんとルールを守っていることが印象的で、風変わりな見た目とその正統派なところのギャップが面白く感じた。
一言だけ言ってもいい???
グサッジャバジャバジャキリキリキリビヨーンザクッポトッシュルルルル・・・
車井戸はなぜ軋る
村で最も大きな力を持つ本位田家に、戦争に取られていた長男大助が帰ってきたのをきっかけに悲劇が起こる。
彼と腹の違う兄弟と言われていた伍一は、顔は大助と瓜二つだったが、父から受け継いだと言われる二重瞳孔の持ち主であり、大助とともに同じ戦地へ行っていた。
そして帰ってきた大助は爆風によって両目を失っていた・・・。
横溝作品は前置き説明が長すぎて、ここであらすじに至るまでを説明することができない。上に挙げたものも前置き設定のほんの一部で、そもそも事件発生までも至っていない。
とりあえずこのあと何人か死ぬのだ(笑)
この作品は構成も工夫してあって、本位田家の大助の妹である鶴代が、その間の兄弟である兄慎吉に送った手紙という形で進行する(2人とも上の紹介に出てこないでしょ/笑)。
事件の構造も複雑で、本陣〜の方はトリックの半分くらいは予想できたが、こっちはさっぱりわからず、犯人に至っては予想のかけらにも当たらなかった(笑)
しかしこの作品にも本陣〜と共通するところがある。
それは可愛くて儚い鶴代ちゃんも可哀想なところ(笑)
黒猫亭事件
昭和22年3月20日深夜、武蔵野の面影が残る町で警ら中だった長谷川巡査は、最近持ち主が売りに出して空き家になっている酒場「黒猫」の庭で、隣接する寺の若い僧日兆が穴を掘っているのに気づき、果たしてそこには腐乱した女の死体が埋まっていた。
しかし女の顔は腐乱が進み、誰かもわからない。
警察によって掘り返されると、そこには首を切り裂かれた黒猫の死体も一緒に埋まっていた。
警察は「黒猫」に元々住んでいた人々に関わりがあると見て調査を進めるが・・・。
金田一耕助から作家Y(横溝)に送られた資料を元にした小説ということになっている。
これまた複雑な事件で、犯人の計画も非常に大掛かりなものだが、登場人物は限られているのでまだ予測はしやすい。
勿論それが当たるかどうかは別問題で、化夢宇留仁は完全に煙に巻かれたが(笑)
印象的だったのは上記のように作家Yが金田一と関わりを持っているという要素で、Yが金田一に話した内容を金田一が得意そうに警察に語ったりすると、なんだか自分の話が金田一に採用されたような気分になって嬉しくなったりする(笑)
ミステリーとしても上記のように複雑なもので、ちょっと実現は難しいのではないかとも思うのだが、金田一の軽妙な語り口でなんとなく納得させられてしまうのが愉快でもある。
ちうわけで冒険小説だった八つ墓村の次に読んだのは本格ミステリー3本詰め合わせだったが、これまたどれも面白かった。
化夢宇留仁がなんとなく横溝に対して抱いていたイメージ(怪奇趣味とエログロを全面に出したいい加減なミステリー作家)というのは完全に大間違いだったと反省中(汗)
どちらかと言うとその評価は江戸川乱歩の方が近い(笑)
20210114追記
またとんでもない嘘を書いてしまった(汗)
「本陣殺人事件」は横溝正史のデビュー作ではなく、金田一耕助のデビュー作である(笑)
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